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あたしの大切【大雪】
簡単になくなりはしません。
雪景色に深く埋もれたとしても
あたしの大切はなくなったりしない
ただ眠りについているだけだ
雪どけまでのんびりしているだけだろうし
いざ春になったらもう少し眠らせてくれって
ぐずるかもしれないけど なくなったわけじゃない
あたしの大切が眠りについている 雪景色のその上に
古墳を守る埴輪みたいに
たくさんの雪だるまをつくって
雪どけとめざめを待とう
春の訪れにその仕事を終えた雪だるまたちが
すっかり姿を消してしまって
地肌を見せはじめた大地から
もぐらみたいに あたしの大切は
ひょっこりあたまを出すことだろうから
ほうらね
やっぱり なくなってなんかなかったでしょ
ひと冬を越して ひさかたぶりの
あたしの大切をぎゅっとだきしめながら
新しい春をむかえるんだ
それが何ヶ月後かのことだって
ちゃんとわかってるから
いまのところは 雪景色の下
ゆっくり眠っていてくれればいい
それまではおやすみ あたしの大切
しばらくのおわかれ あたしの大切
いつまでも大切だから、やっかいなことも。
