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あたしの小説【小雪】
文才、ねえなぁ(笑)
大粒が降りしきるころには
描きあがってるはずだけど
ちらほらの雪のなか あたしの筆は進まない
一面が真っ白になるころには
原稿も積みあがってるはずだけど
描きだしすら決まらなくて
四角い雪原のような原稿用紙
あたしには文才なんてないのかもしれない
あきらめてマンガにしとこうと思って
ヒロインを描いてみたところ
こっちと反対向きの顔が描けないのに気づいて
さっそく つまずいた
コマ割りだってどうしたらいいか
さっぱり わかんないし
だったら 絵も描かなくてすむうえに
一列にまっすぐ文を描いてけばいい
小説のほうがずっとましで
あたしにもなんとか描ける気がしたんだよね
絵を描かなくていいかわりに
字だけで描かなきゃなんないのは難しいけど
なんとかやってみる!
大粒が降りしきるころには
描きあがってるはずだって
一面が真っ白になるころには
原稿も積みあがってるはずだって
そう信じながら
あたしはあたしの小説を また描きはじめるのだ




