閑章 転移者1 -1-29
もう終わりだよ、という意味を込めて袖から手を抜いて、霧の頭と、背中の一番反応が大きかった心臓の裏側を、ポフポフと軽く叩いた
『にゃう…はっあ………んあ……』
しっかし破廉恥な思念ですねぇ…
『さて、私は後ろ手に首と腰を揉んだあと、脚全体を揉んで欲しい…脚の方は、たまに抓って…?』
思わず霞の脚を見下ろした
ポジションの前後を交替するか、寝転がるって選択肢無いのがスゴいよ…
やるか…俺の手もヌルヌルになってしまったが…良いのかな?
ここでトムさんを見ると、船を漕いでいた
そして、霞から催促が入った
両方の踵で交互に脇腹をド突くのはやめて?やるから、やるから!
ハイハイただ今ただ今!!頭を撫でるから、落ち着いてもらおう
ワァ……また大音量で頭に思念が!
『んっ…!頭を撫でて不意打ちズルいぃ…………でもうれしい……んっ…くびぃ…やっと…やっと揉んでくれた……はぁ…いいっ……くぅ…うっ……だめ…だめ…その強さで首はだめ…きもちぃ…腰もその強さでやって……まだくびぃ……あん…』
マッサージの要望がリアルタイムで来るだけなのに…おかしいだろ……キマリ過ぎ…突っ込む気力もないけど
『なんでマサは……私達のきもちぃとこ…加減と……揉んで欲しい強さが…解るの?……あう………もう腰が良い………腰揉んで…ひう…あっ…腰…右手の薬指が当たってるとこと…左手の親指が当たってるとこ…押して…そこいい…んん………いい…好き…
やんっ……まだ揉んでいいのに…やんっ……って言っちゃ……う!…うれしい……うっ…んん…あっ…そこいい…まだ脚じゃなくてぃ…い』
すまんが素人だから凝ってるのか、元の筋肉の硬さなのか、マジでわからんのよ…二人とも筋肉すげぇ!って感想しか出ません
撫でろじゃなくて揉めって言われると、凹ませて、肌が白くなるまでグイグイいかないと思念が返ってこないし…多分平均的な女の人をこの強さで揉んだり、ツボ押したらマジで痛がると思うよ?俺が抓られた時に痛いと言うぐらいの力出してるし…頼まれても現実でやりたくねえ…
『まだ腰…んあ………ふっ……うぅ…きもちぃ……きもちぃ…両手の中指が当たってるとこ…押して……?はぁ……ん…あっあっ…でちゃう……でちゃう!』
ちょっ!何がでちゃうの?!
…………………?
実に失礼ですけど、漏らしたわけじゃなさそうね…ナニ?
横目で表情を窺うと、俺の右肩にアゴを乗せたままの霞が、犬歯を覗かせた口の両端から血を流していた
『…んあ……見られちゃった…きもちぃ………
大丈夫…んっ……きもちぃ…続けて……まだ腰がいい……でも……あっ…そこだめ!そこ…そこだめ!一番きもちぃから…だめなの……んあっ…もう…もう脚を揉んで…?』
『最後に…最後に………いまの腰のとこ揉んで欲しい……はぁ…裾捲って…?太腿まで出して良いから…いきなりそこ……あっ…なんで……わかるの?………一番最初にそこ揉んで欲しかった……!……マサすごい!……今言おうと思ったのに…あぁ好き…うう………あん…きもちぃ…そこ好き………しばらくそこ………揉んで欲しい……いいよ……んっ…あ…』
七分丈の裾を捲って、ポンと手を置いただけで偶々なんだけどなぁ…
『きもちぃ…腿の裏も揉んで欲しい………うっ…そこ…いい……腿の裏はそこだけきもちぃ…ひう…くっ…………膝から下も揉んで……?…きたなくて…嫌かも知れないけど………足の裏は最初がいい…うっ…あん!…直ぐにやってくれるの…うれしい……指の間にマサの指入れて…?』
『はぁ……んあ…それだめ…!
指ニギニギしないで!きもちぃけど…もうちょっと弱めがいい……あっ…それもいい…腕をクロスして右手で左足、左手で右足なんて…足の甲ピリピリする……きもちぃ…』
誰でも思い付く範囲だろこんなん…
はい手が止まってますよね…ゴメンよ…よしよし…さっきと同じ催促がいてぇ!そして霞の足指に腕を交差して、指を入れたままだから肘を無理矢理伸ばされて、更に痛い
なんというか、いじらしいよね…
『はぁ…きもちぃ…足裏って全身…揉まれてるみたいで……すごい………そこいい…あん………そこだめ…!痛い!…痛いのに……なんか揉まれないといけない気がする…………いたい……うぁ…ひう………痛くなくなった…うれしい……』
痛くないって事は、ツボが効いたのか?
後で調べるか…足裏のツボって内蔵関係多いし
ん………!?………よく考えたら東洋医学のプロがいないと人型キャラにツボなんか実装できないじゃん!ものすごいqualityに戦慄するわ!ガチ過ぎる…!!当たり判定がめっちゃ精密ってことだろ?
『ふくらはぎ揉んで欲しいの…あっ……んっ………んあ……
…くぅ…揉まれるとこ…結構痛いけど…きもちぃ…
まだ揉んで欲しい…つねったら痛いからやっぱり無くて良いよ………んっ…好き…
そこいい……左側の…人差し指が当たってるとこ押して…?右側はそのまま………あん…揉んで欲しい…うぅ…痛い…きもちぃ……』
『はぁ……もう腰揉んで…?…さっきのとこ…一番きもちぃから…あう………んあ…揉んで…ひう…あっそこいい……いい…ゆっくり揉むとこ……ずらして欲しい…んっ…はぁ…』
霞さん…霞さんや、悦んでるのはわかるけど、急に下半身を擦り付けて来て不穏なんですが………
男としてはマッサージしてるだけでこの具合なのは嬉しいけど、今霞に反応すると好感度的に微妙な気がするんだよな…何故かって?霧の抱き付きが未だ解除されてないから…雑に二人の頭を撫でて、誤魔化せないかな…ダメか…バレそう…




