続・雨宿り
神のクォーターである俺たちには特殊な五感と念話能力が備わっているが、普段から使おうとしない俺に相棒はネチネチと念話で
文句を言い始めた…
が、適当に聞き流しておく
『神の眼を使って疚しいものを視るな』とかなんとか言われたから神の耳くらいしか使ってないのに…
とにかく足の折れた理由を聞こう
「北にある国境からここまで西廻りで来る途中で初めて出来た友達と思ってた奴に裏切られた結果、山賊の砦に案内されて捕まったのよ」
壮絶だな…一回身ぐるみ剥がされたっぽいし良いところのお嬢様なの?足折れちゃった子…
「どうにか縄脱けして同じような目に遭ってたこの二人と一緒に山賊の罠を逆に利用して逃げ隠れしつつ40人くらいの山賊を殲滅したの…」
慰みものになる前に他の間に合わなかった娘たちの敵討ちとして頑張ったわけか
え?スゴくない?
相棒は「その後漁夫の利を狙った他の山賊との縄張り争いに巻き込まれて逃げる時にどうにかなってしまった訳か…大変だったな…」
言い当てたら隣の浅黒い子が驚いた顔してるね…
「俺たちは過去を見たり声ならぬ声を聞くことができるんだ」と雑だが説明した
浅黒い子が
「あ…話をするのに夢中で名前を言ってなかったね…私はスー、こっちの白い子がルルで足伸ばしてるのがシェムだよ」
名前も分かったし俺は握手をした
「よろしく、俺はゼラムでこのねえさんはリロレレムだ…リロかレムって呼んであげてね」
三人は「レムねえさんって呼ぶね‼」と
ニコニコしていた
相棒は
「お前たち私より年下なのか?…色々と立派なのに…」
三人は顔を見合わせて
「私達は11歳だよ」
そうなのね…その歳そのナリで山賊に対して敵討ちとかヤっちゃう所をみると中々のガッツじゃないか…
と、今の今まで忘れられてた猫らしいナニカが
シェムの所に歩いていき、両方の足首をポンと叩いた
「…あれ?足の痺れが…うっ…」
シェムは壁に寄りかかったまま寝てしまった
麻酔ってやつかね?いよいよ猫の正体が分からんな…足折れてるのにシェムは冷や汗すら出てないし…
シェムの足首の骨は粉々っぽいし右の大腿骨は折れてずれた上によく分からん呪いが入ってんだぜ?猫らしいナニカは呪いをゆっくり分解してるみたいだけどな…瘴気っぽいの出てるし…
呪いは友達とやらがかけたのかね…
「シェムも寝かされちまったし俺たちも寝ようぜ」
三人は頷いたので俺はハンモックを即席で作り寝転がったのだった…