地下室の一夜城への来客
地下室の入口は床にあり上に跳ねあがる扉となっている。雨だし夜だし分かりづらいな
開け方は扉になっている色が違う板の継ぎ目をずらし、取っ手を出した後に時計回りに一周回すだけだ。出る側の俺たちはすぐに出られるようにあらかじめ外の継ぎ目をずらしておいたので、取っ手にもすぐに気づくはずなんだが…。
そう思っていると、扉が開く音がした
「開いたぞ姐さん」
「雨冷たいし寒いし死んじゃう…早く入ろう」
やはり二人だったか
猫はハンモックから動いてない相棒の上で無反応だし、知り合いでもないのかもな。
と、すぐに階段を降りてこない
地下室は階段を降りると地下なのに中庭みたいになったところもあるし、階段の上からだと部屋があることもわかるけど、不思議と人がいるかどうかは中庭が奇妙な形だからか分かりにくくなってるしな…。
猫が相棒から降りて挨拶に階段へ向かうと
「地下に猫がいるのも明らかにおかしいし使い魔って感じもしないけど誰かいるのかも」
「ここを通りすぎても周りに地下室のある家もないし入ってみよう」
階段の上の小声だが神のクォーターにはバッチリ聞こえる
あれ?姐さんて言った奴と声違ってないか?
なるほど、足音は二人で実は三人いて一人はおぶわれてるかなにかしてる訳ね…
猫は階段の下でマネキネコとかいう置物のポーズをとった
すごい怪しいしどこで覚えたんだか…
そのかいあってか階段を降りてきた三人娘は中庭に驚いたのち、俺と相棒に気付いた
「あんたら、ここの住人なの?」
自己紹介した俺は
「二週間くらいくらい前から雨宿りで居着いてるけど、家主は俺じゃない」
「ふーん…そっちの子は喋らないの?」
おぶわれてる娘が言った
相棒に振り返ると、
「雨だけじゃなく血にも濡れてる足の折れたそいつを下ろしてやらないのか?」
え?あいつの足折れてるの?
「やっぱり折れてるのね…」
疲れた顔で子分っぽい娘の背中から降りた娘は足を伸ばして座った
他の二人にも座るよう促した後、服を魔術で乾かしてからどうして雨のなかそうなってしまったのかを
語り始めたのだ…