邪なる者の集まる川 序 肆
色々と隙だらけな気もする
巫女様の正体は、魔神とその眷族を滅ぼす為に活動する
「神滅の巫女」
というものらしい
どう言った存在なのか?
人以上神未満の俺達四人のような存在はこの大陸にはあまりいないが
巫女様の故郷にはチラホラ現れていた
邪気と瘴気の濃度が高く、両方入り交じる
川の水しか正常ではないこの川のような土地
<一部しかまともな部分がない>
では、身に宿る神の力が乱れやすい
そのため心身の均衡を崩し、その場にとどまり続けると、身に宿る神の力を魔神によって少しずつ魔神側へとずらされ、最終的に暴走し敵味方関係なく破滅をもたらす
混沌を生み出し神のパワーバランスと聖域を乱し
自身の封印結界を弱め復活を早めようとしている
そんな魔神と眷族をもろとも滅するために活動している
というのが俺達が遭遇した今代の
「神滅の巫女」
である
やらかしてもしこのお姉さんに引導を渡されるのなら片割れも俺達も幸せかもな…
名前を聞かせないってのも俺達には伝わらないようにする意味がなにかあるのかもしれない…
暴走してしまうのは、その場にとどまり続けると邪気と瘴気を神の力で相殺しきれなくなっていく
ということで、瘴気だけとか片方だけならどうにかなったんだと…
「神の力を下界に降ろすなど言語道断で貴様らの愛し子達で世界を壊してやる」
というのが魔神の言い分だそうな
こんなデンジャラスな神を
どうやったら封印出来たのか
そんなわけで魔神の最初からの申し子はいない
信仰も皆無だし巷に知られた神様じゃないけど確かに存在はしている
邪神は信仰されてるしどっちかというと善神ほど良くはないってだけだからやっぱり魔神は異端なんだろう…
暴走して殺される前に再会したいな…
そこまで知っちゃうと巫女様の兄さんも俺達が助けなくていいんじゃ無いの?って気がしてくるけど、そういう考えこそが邪気と瘴気を溜める魂を作りやすいし、異世界人が言ってる
「墓穴を掘る」
って事なんだろう
八百万の神々の力を降ろせる程の神滅の巫女は
二百代目に迫る歴史の中で十人といないらしい
最初に出会った神官職が最強で俺達に力を借りて世直しどころか道を踏み外したら殺すかも知れない所だったって何なの?
付きまとわれ確定ルートじゃねぇか…
なんだか未来が暗くなって来たなぁ……




