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異世界昔話を創ろう  作者: お灸師ニコ
9/11

異世界桃太郎 その8

「謎は解けた。犯人はこの中にいません」


ポチはいきなり大声出されてビックリしている。それをよそに話を続ける。


「土の中に埋めたのはゴブリン。指示役はポチ。

でも、その後ろにそうする事になった元凶を作った真犯人がいる。

それは・・・そう、神だ」


僕をこの世界に産み落とした神は何を血迷ったか、人としてではなく、桃人としてこの地に送ったのだ。

桃人って何?誰もが思う疑問だ。

何でも神様が勝手に作った人種で、ドライアドに近い存在。

簡単に言うと桃の木、桃の実が人になった感じで、この世界で唯一無二らしい。

土の中に埋められた理由は、この桃人が関係している。




「ゴブリンから話を聞いた所、この村は大変な食糧危機に見舞われています。

理由は簡単、村周辺の食材となるもの全て取り尽くしたからです。

なので、桃人である主を植えて、桃園を造るプロジェクトに取り掛かっています」


「ん?僕を植えると桃園が出来るの?」


「はい、土の中に入れば植物と同じです。水と光があれば生き続けられます」


「ん?ん?聞きたいとこはそこじゃなかったけど、今、僕、植物なの?」


「はい」


否定の言葉は聞かれず、肯定の2文字が心に突き刺さった。

本当に人間じゃないのが実感出来ずにいるが、何故だか涙が零れてきた。


「主、何も泣くことはないと思います。

桃人はとても優秀で自然治癒力も高く、体は高級の桃の味。身体能力も高く、寿命は千年余り。

地上に出れば人と同じ生活もできます。なので、泣かないでもいいと思います」


その言葉を聞いてさらに涙が溢れ出す。

体が桃でその体で千年も生きないといけないのが、悲しくて悲しくて涙が止まらない。

するとポチは鼻息を荒くして、目の前に座る。

土に埋まっているせいで、ポチは見下ろす形になる。


「主、泣かないでと思いつつも、ハァハァ、美味しそうな匂いの涙がハァハァ、我慢できない」


そう言って、凄い勢いで顔を舐めまわす。


昨日舐めてきたのは、僕が桃だからか。

そのうち、ポチに喰われるんだろうなぁ。

喰われれば千年生きなくてすむからいいか。


そんな事を考えながらも涙は止まらず、まだポチに舐め回される。


これも全て神様のせいだよな。

勝手に異世界強要して、勝手に桃人にして、何が神様だ。

いや、様をつけたくない神だ。

最初会った時思ったが、神のくせして存在が薄い紙っぺらの紙くずだ。

そうだ、神くずだ。

神のくせしてハゲって、神なのに髪はないはっはっ。

面白くもなんともないわ。


神のこと考えていたら、怒りがこみ上げ、涙も止まっていた。

涙が止まるとポチは舐めるのをやめて、少し下がって満足そうに寝ている。

この状況になったのは誰のせいだ。ゴブリンのせいか?ポチのせいか?

いや、神のせいだ。


「謎は解けた。犯人はこのなかにいません」

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