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恋のカタチ

幼馴染に恋をして

作者: くろうさ

幼馴染同士の恋を描いてみたいと思い、頑張って書いてみました。

ホームルームが終わった少女は、少年のクラスへと走る。

少年のクラスは、まだホームルームの最中だった。

少年のクラスの担任は、世間話が好きらしく、いつもホームルームが終わるのが遅かった。

他所のクラスは、すでにホームルームも終わり、廊下は帰り支度をする生徒たちで賑わっている。

少女は、少年の姿を、じっと見つめていた。

サラサラした黒髪に、少し切れ長の目。

少年は、真剣そうに、教師の話を聞いていた。

その何にでも真剣に耳を傾ける姿勢を、少女は素敵だと思っていた。


ホームルームが終わって、学生たちが一斉に立ち上がる。

ぞろぞろと学生たちが出て来るが、少年はまだ席で何かをしていて、なかなか出て来ない。

「彼女、待ってるぞ」

クラスメートの一人が、少年に声をかけ、少年は顔を上げてこちらを見る。

その言葉が聞こえて、少女は、ほんのり頬を赤く染める。


彼女……かぁ。

()()()()()()()()()、どれだけ幸せだろう。


しかし、少年は、クラスメートに否定はせずに、少女の方に真っ直ぐに向かってくる。

「待たせたね。ごめん」

少女は、首を横に振る。

「私も、さっきホームルームが終わったばかりだから」


少年と少女は、並んで歩いていた。

少年と少女は、幼馴染だった。

小学校の頃から、だいたい、こんな感じで一緒に帰ることは、よくあることだった。

でも、まさか――好きになってしまうなんて、少女は思ってもみなかったのだけれど。

「今日、数学の授業で、予習してなかったところを当てられて、ヒヤヒヤしたよ」

少女は、少年の横顔をチラ見しながら、苦笑する。

「あはは、イツキでも、予習してないことなんて、あるんだ」

少年は、バツが悪そうに、頭を掻く。

「1問だけ、飛ばして予習してたみたいで、そこだけ解けてなかったんだ。

 わかりませんとも言えないし……もう必死だったよ」

「そうなんだ? 私なら、素直に、わかりません、って言うけどなぁ……」

「即興で、なんとか解けそうだったからね。

 ちょっと時間かかったけど、なんとか、先生に〇をもらえたから、良かったよ」

「ふーん……」


……などと会話しながら歩いていると、猫が歩いて来た。

灰と白のグラデーションが美しい、ペルシャ風の猫だった。

猫は、少年の足元に近付いてきて、頭を擦り付ける。

「人懐っこいね」

少年は、そう言うと、猫の頭を撫でた。

猫は、気持ち良さそうに、目を細める。

「綺麗な猫……首輪してるね」

少年は、今度は、猫の顎の下を撫でている。

少年の顔は、少し微笑んでいた。

猫の方も、嬉しいらしく、ごろごろと喉を鳴らしている。

少女は、少し見惚れていた。

自分の好きな人が、猫と戯れている姿は、なんとなく、愛おしかった。

「コノハも、撫でてみる?」

少年が、そう言いながら、少女の方を見る。


少女は、少し少年の方に、近付いて、猫の頭をそっと撫でた。

猫が「にゃーん」と鳴く。

「か、可愛い……」

思わず、少女は、猫の喉元を撫でる。

ごろごろと、猫は喉を鳴らしていた。

気が付けば、少年とかなり近い距離にいる。

少女は、内心、少しドキドキしていた。

「本当に、可愛いね」

少年は、猫と()()()()を、見ながら、そう言った。

少女は、それは猫に向かって言っているのだと分かっていたが、少しドキっとした。

猫が、さも分かっているかのように「にゃーん」と鳴いた。


猫は、しばらく少年たちと一緒にいたが、突然、ひょいっと堀の上に上がる。

そのまま、とととっと歩いて行ってしまった。

「行っちゃったね」

少女は、猫の去って行った方を見ながら、少し残念そうに呟く。

「そうだね、もう少し、眺めていたかったけど」

少年も、猫のいた方を見つめながら、少女に答える。

「……ん?」

少女は、少し首を傾ける。

「いや、()()()()()()()()から」

少年は、それだけ言うと、少し照れたように、顔を背けた。

 

……んん?

イツキって、そんなに猫が好きだったっけ?


「帰ろっか」

少女が、少年に微笑みかける。

「そうだね」

少年は、少女の前に立って、歩き始める。

少女は、その後を遅れまいと付いて行った。


これが、イツキとコノハのいつもの日常であった。

イツキも、コノハも、奥手であった。

二人がお互いの気持ちに気が付くのは、これから10年も先の話である。

ここまで読んで下さって、本当に、ありがとうございます。

駄文ですが、評価などして頂けると、とても嬉しいです。

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