第一話 ポイント交換
Desire Gameの続編という位置付けですが,前作を読んでいなくても95%は楽しめる様になっていますので,ここから読んで頂いても大丈夫です。途中で気になるようでしたら前作もお読みいただければ幸いです。
―――何を欲する―――
「俺達の村を壊したヤツを・・・葬り去りたいっ・・・!!」
―――何を欲する―――
「あの過ちを,なかったことに・・・」
―――何を欲する―――
「人間なんてめんどくせぇモン,やめちまいてぇ・・・」
―――何を欲する―――
「どうして私だけが・・・そんなこと許せない!!」
―――何を欲する―――
「・・・置いていかないで・・・」
―――何を欲する―――
「望まれた姿に・・・」
―――何を欲する―――
「人類全てを・・・根絶やしにっ!!」
―――何を欲する―――
「あの子たちの苦しみを・・・いや,それ以上の苦痛を・・・アイツに・・・!!」
―――何を欲する―――
「私のルーツを・・・名前の由来の・・・"――"を見たい」
―――何を欲する―――
「何でも造れるような技術者に・・・」
―――何を欲する―――
「死にたい・・・」
第一話
ポイント交換
「・・・うっ・・・ん・・・?」
私『泉 刻』は一面コンクリートで灰色の見覚えのない部屋で目を覚ました。
「どこだここは・・・」
コンクリートに寝ていた身体を起こす―――その時
―――ゴトッ
私の身体のどこかから何かが落ちる・・・
「これは・・・スマートフォン・・・?でも,私が持っていた機種とは違う・・・」
とは言えどこかへの連絡手段があるのは僥倖と言えるでしょう・・・もし現在の私の状況が拉致や軟禁状態と言えるのなら警察に連絡ができますし・・・有事の際なら,それも選択肢に入れるべきでしょう。
とりあえず,このスマホが使えることを確認ますか。使えなければただの重りでしかありませんし···そう思い私はスマホのボタンを押す―――すると,どこかで見たことのあるようなマークが浮かび上がりました。
「これは・・・確か十二星座の何かのマーク・・・なんでしたっけ・・・?」
五月生まれの私は牡牛座,そのマークではないことは判りますが・・・どういう意味でしょうか。
そのまま画面をタップしてみる。そこには『プレイヤー情報』,『アプリ』,『ポイント交換』と三つのボタンが映し出された。
スマホかと思いましたが,ゲーム端末か何かだったのでしょうか・・・
とはいえ,私はコンクリートで囲まれた部屋に一人寝かされていましたし。有事であることは間違いないでしょう・・・こういった時には情報を回収することが大切になるはすです。とにかくこのスマホは何か関係があるという希望的観測があり『プレイヤー情報』を試しにタップしてみます。
すると画面が切り替わり文字が画面に並びだしました――――
名前 :泉 刻
星座 :山羊座
願い :平等
経歴 :詐欺師
スキル :シンクロ(20)
ミッション :獅子座の生存
残りポイント:80
そこには私の名前が書かれていた・・・これは,あまり考えたくはないが,やはり何かの映画とか,漫画であるような状況に私は置かれているのでしょう・・・まぁ,あんな目にあって,その当てつけで人を騙す様なことをしている私だ,この程度で取り乱しはしません・・・強いて言うなら,嫁の命に心配をかけていないかが心残りですが・・・
そう思いつつも私はスマホを操作する。『アプリ』のボタンをタップするもそこには何も映らなかった・・・そして,『ポイント交換』のボタンをタップする。恐らくこれはさっきの情報にあった残りポイントを何かに交換するのでしょう・・・
『ポイント交換』のボタンを押した先には『アプリ』と『武器』のタブ,初期状態はアプリになっています。そこには地図アプリや参加者のミッション,経歴,スキル等の情報を得ると予想できるアプリや,開錠,盗み見などの機能を追加するアプリ,『武器』のタブには鉄パイプからナイフ,銃などが並んでいた。そしてその横にはそれぞれのアプリや武器に数字が振られている。つまり,残りポイントでこれらを買うということか・・・ということは,情報にあったスキル,その横にあった20という数字・・・スキルが私達に強制的に与えられていて,仮にそのスキルに強弱とかがあったとして,強ければ残りポイントが少なく,弱ければ残りポイントが多くアプリや武器を充実させられる・・・まさにゲームバランスの調整といったところでしょうか・・・まぁ,何はともあれ,私もこのゲームのプレイヤー・・・さっさと参加の準備をしないと・・・武器を与えられること,そして私のミッションが『獅子座の生存』であること,恐らく他のプレイヤーのミッションには殺害等を強要するものもあるだろうし,出会えば攻撃してくる者もいるだろう・・・むざむざ殺されるわけにいかない。そう思い私はアプリと武器を選びだす――――
『スキル一覧』のアプリ・・・これはいいですね。どんなスキルが存在するのかが解かるというのは他のポイントをどうするかの指針になりますし。私は腕っ節が強いわけではありませんし,頭で勝つためには考えることが必要···そして考えるためには情報が必要···交換に必要なポイントは30・・・まぁまぁ多いと思いますが,その情報が与える影響は大きいと考え,私は『スキル一覧』を30ポイントで交換する。
「さて・・・どんなスキルがあるのでしょうか?」
私はスマホの『アプリ』ボタンから『スキル一覧』を選択する―――――
スキル一覧
Aries : 視界を遮られない
Taurus : 対象の人を一定距離以上離さない
Gemini : 自らの分身の生成
Cancer : 致命傷を受けた際の延命
Leo : 獣への変身
Virgo : 対象の回復
Libra : 念発火
Scorpio : 目が合った相手の絶命
Sagittarius : 万物創造
Capricorn : 対象を自らと同じ状態にする
Aquarius : 不死
Pisces : 他次元への移動
「・・・。」
その情報を前に私は息を飲む・・・まずは私のスキル『シンクロ』の詳細・・・これはまさに私が願った平等を体現するもの・・・『プレイヤー情報』に願いが書かれていた『願い』・・・その意味が分かった気がします・・・スキルは願いを叶えるものなのでしょう・・・そうだとするなら,この催しの姿が見え始めてきました・・・私達の願いを叶えるスキルを授ける代わりにゲームで勝てと,恐らくその姿を見て楽しむ連中でもいるのでしょうね・・・。そして,それと同時に他のプレイヤーのスキルも見直す・・・中には人に危害を加えないモノものもありますが,明らかに危険なものもある―――『念発火』,『獣への変身』そして『目が合った相手の絶命』,この三人は明らかに人への憎しみがあふれている・・・そしてスキルもそれに呼応するかのように強力なものに・・・この方々は対峙することそのものがまずい,特に『念発火』と『目が合った相手の絶命』この二人は私にとって天敵だろう・・・シンクロは対象がいないといけないハズですし,最低でも視認はしないといけないでしょう・・・この二人は対象と認識する前に殺されかねない・・・。それに他のプレイヤーも強力なモノでなければアプリや武器を充実させているでしょうし···誰一人として油断はなりませんね。
「後は・・・『ミッション一覧』・・・ですかね。」
スキルが見えたなら後はミッションでしょう。私のスキル『シンクロ』はいわばカウンター。このゲームで私は攻撃力は低い部類になるでしょう,となると,一人でのクリアは難しい。何より『獣になる』というスキルを持つ獅子座の人が生存していることが私のクリア条件です。獅子座の人の協力は必須と言えるでしょう。ましてや『念発火』等の危険なスキルの持ち主がいる・・・どんな獣か知らないが,獣である以上近接戦となるハズです・・・となると手を触れずに殺害が可能なスキルを知らせないといけません・・・その獅子座の人のミッションを知ること,それは協力を求める上で必要なことでしょう。これも30ポイントと高価だったが,私は『ミッション一覧』を購入し,起動する。
ミッション一覧
Aries : 3人の殺害
Taurus : 重複星座を一人にする
Gemini : 自分自身の生存
Cancer : スマートフォン3個の破壊
Leo : ゴールアプリの取得
Virgo : 各階に存在する宝の取得
Libra : Virgoと24時間手錠で繋がれて行動する
Scorpio : 参加者全員のスマホの連絡先を登録する。
Sagittarius : 参加者12人中10人の死亡
Capricorn : 獅子座の生存
Aquarius : 水位60%まで各階に留まる
Pisces : 射手座の溺死
これもまた色々と思うところはありますが,とにかく獅子座の方は『ゴールアプリの取得』これの意味を考えるところからでしょう・・・アプリを手に入れるとありますが,残りポイントの都合上それはスキルに依存するものでは・・・まぁ,そんな単純な訳はないでしょう。だとすると,特定の場所でしかポイント交換できないアプリであるか,ポイントを何らかの方法で集めることができて,高価なゴールアプリをポイントを溜めて購入する・・・といったところでしょうか。そして,他に言えば,殺害のミッションやスマホの破壊ミッション,これも私と獅子座の人が生き抜くことを脅かします。情報から警戒すべき人が定まってきます。
さて,私の残りポイントは20・・・武器を何か手にしておくべきだろうか・・・
「・・・そう,ですね。私にはこれがピッタリだ・・・」
私の目に留まった物を交換し,スーツの内ポケットへとしまう。
「よし,それじゃあ準備もできたし,行くとしますか・・・」
ミッションをクリアしないといけないのはわかりますが,タイムリミットとかはどうなっているのでしょうか・・・もう少しルールを説明してほしかったですね・・・
―――カチャ
そう思いつつも私は扉に手をかけ開く――――
「・・・本当に何なのでしょうか,この建物は・・・」
扉の先はコンクリートの空間に僅かなLEDの証明があるばかり・・・生活感のかけらもありません・・・倉庫とかでももう少し彩りというものがあるでしょうに・・・
「というより証明がLEDって無駄にエコ思考なんですね・・・」
そんなことを独り言ちてみると――――
「そうだよなぁ,このスマホもAIポン60って次世代機ってレベルじゃないし・・・何考えてんだか・・・」
「・・・あなたは?」
どこから現れたのやら,突如そんなことを言って来る作業服姿の青年がいた。
「そんな警戒すんなよ。何も取って食おうって訳じゃない」
「それを判断するのは私です。まずはアナタが何座の誰なのかわからないことには話になりません。」
やや好意的に接してくるあたり,殺すことが目的の人ではなさそうなので,会話で攻める―――それこそ私の得意分野だから―――
「わかったわかった,俺は天秤座の黒川 悠里っていう者だ。・・・お前は?」
・・・天秤座・・・念発火のスキルを持つ危険人物・・・いきなり遭遇してしまうとは···しかし,彼のミッションは乙女座と手錠で繋がれて24時間行動を共にするっていうもの・・・無闇に殺すわけにはいかないってことか・・・ここは無為に敵意を示すことは得策ではないでしょう・・・安全策を取るとすれば―――
「私は乙女座の―――」
「―――――おっ!!乙女座かっ!!幸先がいい,いきなり見つかるとは!!」
「・・・私に何か御用ですか?」
いきなりミッション達成のための相手を見つけたのが嬉しいのか驚きを隠せないような顔で黒川さんは返す―――私は平静に何も知らないフリをする―――
「そうなんだよ。俺のミッションにお前が必要なんだよ。協力してくれ!!」
よくもまぁ大切な情報をペラペラと・・・黒川という青年・・・直情的で騙しやすいタイプだな・・・
「そうですか。アナタが私のミッションに協力してくださるのなら,構いませんよ。」
「交渉成立だな。改めて黒川 悠里だ。」
青年は握手を求めるように手を差し出す―――くだらない関係ですね―――とは思うがここは乗っておくのが正解だろうと,私も手を差し出す――――
「泉です。よろしくお願いします。」
ここはボロが出ないように本名を使う―――
そして私たちは手を取り――――
「―――だよな。」
―――――ボウッ!!
私の身体は突如として高温に包まれた―――
「なっ!!熱っ!!くっ・・・ぐうううううああぁぁぁ!!」
私は,燃えているのか・・・どうして・・・
「俺はなぁ!!人を騙す奴が,大っ嫌いなんだよっ!!」
人が変わったかのように怒りを露わにする黒川――――
「お前が乙女座じゃないってことは最初っからわかってたんだよ!!泉という名は牡牛座か山羊座しかいねぇからな!!何より乙女座の栗原は俺の幼馴染だ!!騙そうったってそうはいかねぇんだよバカがっ!!」
バレていた・・・だと・・・!?
それにしても彼のこの尋常ならざる怒り・・・彼に何があったというんだろうか・・・
薄れる意識の中ではもう炎の熱を感じることはなく,私はそんな余計な心配をしていた――――
Another View 黒川悠里
・・・燃えていく泉と名乗るスーツの男を足で踏みつけつつ俺はスマホを見る。
「情報の重要性くらいわかってるに決まってんだろ・・・」
参加者名一覧
Aries : 竜胆 日輪
Taurus : 泉 命
Gemini : 藤原 智己
Cancer : 宮内 直志
Leo : 稲葉 空海
Virgo : 栗原 唯
Libra : 黒川 悠里
Scorpio : 天城 純夜
Sagittarius : 岩畑 巧
Capricorn : 泉 刻
Aquarius : 神崎 満
Pisces : 深堀 愛子
「名前も大事な情報の一つだってことだな。」
俺はもう二度と善人ズラして人を利用する奴を許さない・・・どんなことになろうとも・・・例え俺が放火魔として犯罪者になろうとも―――
「え?・・・悠里・・・?」
「・・・唯―――――」
これは,勧善懲悪の道徳的な物語ではない―――――
”―――――何を欲する―――――”
世界を犠牲にして愛を護る物語でもない―――――
”俺達の村を壊したヤツを・・・葬り去りたいっ・・・!!”
これは―――――
”ならばあなたには念発火のスキルを与えよう―――――連続工場放火犯,黒川 悠里”
世界を呪った人間が,己の復讐のために他を燃やし,葬る『悪』の物語である。
Desire Game -2nd players-
復讐の章
”――――が―――――ない人へ”
初めましての方は初めまして,前作以前からお読み頂いている方はお久しぶりです。ユーキ生物です。
いきなりですが,何点か謝ることがあります。
まず,前作の終わりに「9月頃に投稿します。」とか言っていて10月も後半になっての投稿で申し訳ありません。
そして,「次回からは章全てが書き終わったら投稿します。」とか言っておいてまだ一話しか書けてません。スイマセン。これはですね。既に二週間前には第一話は書けていたのですが,第二話を書こうとしても第一話の訂正ばかりしていて全然進まないという現状のために強行した結果です。このまま行くと11月になっても投稿できなさそうだったので。公約違反が多いです。申し訳ない。
今後の投稿ですが「不定期にすればいいのでは?」と思いましたが,たぶん不定期にすると月一とかになりそうなので隔週ペースで投稿できるよう頑張ります。まぁ,間に合わなければ延期しますが…できるだけないよう頑張ります。
さて、後書きですが,まずはこの「Desire Game -2nd players-」にご興味を持っていただきありがとうございます。私は好きで物語を書いていますが,読まれないことには作品として完成しませんから,読んでいただき恐悦至極にございます。よろしければ今後もお付き合いいただけますと幸いです。
ブックマークや感想等をいただけますとさらに喜びます。好きで書いてるから,と言ってもやはり気になりますし,いただければモチベーションがあがりますね。よろしければそちらの方もお願い致します。
そして,この2ndですが、シリーズ前作のように7話完結ではありません。これは予告通りです。意味もなく引き伸ばす愚行はしない方向でプロットを組みました。いつ終わるかな?という予想も一緒にお楽しみいただければと思います。言っててナニソレですが…
久しぶりの投稿なので,後書きで書きたいことが山ほどあった気がしますがいっぱいありすぎて詰まって出てきませんし,今後も投稿しますし,そちらの方で語れたらと思います。
最後にひとつだけ,この第一話のような展開,私は安直に「どんでん返し」と呼んでますが,これをやってみたかった!!一つの夢が叶って割りと満足です。以上!!
次回は11月3日㈮20時に投稿予定です。




