愛されたおじいちゃん
道端で老人が倒れていると聞いて駆けつけた。
「大丈夫ですか?」
老人は意識が朦朧。出血はないが、一時も早く病院へ向かわねば。
「これを愛する孫に」
取り出しのは銀行通帳が入るほどの小物入れ。震える手で救急隊員へ渡す。
「早くこれをあの子に」
このお金で幸せに過ごせというのか。涙目になりながら、老人へ
「必ず渡します!」と告げ、老人は間もなくこの世を去った。
老人の約束を果たすべく、後日隊員は孫に遺留品を渡した。
「おじいさんの遺品だよ」
中身を開けると入っていたのは携帯充電器。愛娘は
「おじいちゃん、私が携帯の充電器がないといつも死ぬ死ぬーって言ってて、それを忘れたから届けに来てくれたのかなー」
おじいちゃんらしいよと愛娘の頬は濡れていた。