第三話 初めての異世界人との遭遇です
2017/5/7 ステータスの一部項目の削除
対峙する亜人と6匹のフォレストウルフを視界に捉え、状況を把握する。
下草が生えているも、馬車の車輪により踏み固められたと思わる2本の輪達で道ができており、その傍らに広場のように木が伐採され平らになっている場所がある。
大きさはそこそこ広く、ちょっとした小型のキャンプ場くらいはあるようだ。
亜人と思われたのは2人、獣耳と尻尾が生え体の一部にも獣のソレを思わせる毛が生えている。
見て取れる部分では、肘から手首にかけてと膝の少し上からブーツに隠れるまで。しかし手や隠れてはいるもののブーツの形状から、人のソレと変わらないようだ。
一人は180cmくらいだろうか細身ではあるが引き締まった体躯の女性で、ブーツの関節部分の稼働が制限されない程度に金属製の脚甲と腕に手甲をつけ、金属製のブレストプレートとそれにつながるように、ロングソードの刺突なら辛うじて通さない程度の粗目のチェインメイルが腹の部分に見て取れる。 チェインメイルの隙間からは革製の衣服のような物が見て取れ、二の腕や腿は露出しており、槍を構えフォレストウルフともう一人との間に立ち戦っている。
もう一人は130cm程度、大きな荷物を背負い革製の衣服の上に被ってはいないがフード付きのマントを羽織っている。防具は身に着けていないようだが、カイトシールドを構え後ろに下がっている。
・・・フォレストウルフの動きが今まで以上に連携した動きですね。それに一匹はかなり大きい・・・
フォレストウルフ側は通常よりも1.3倍ほどの大型の一匹が後ろに構え、前に出た5匹が槍を構える亜人に順次攻撃を仕掛けては下がりを繰り返し、獣の動きにしてはかなり連携が取れている。まるで統率の取れた人のソレを思わせるような動きに近くなり、槍を持った亜人は徐々に追い詰められているようだ。
・・・まずい状況みたいです。データベースにあるアレをやってみましょう・・・
接敵直前にさらに勢いを前方ではなく少し山なりに跳躍し、フォレストウルフ5匹と1匹の間目がけ空中で跳躍やする。スキル『二段跳び』である。
空中での跳躍でさらに力を込めたため、着地時に地面が陥没しさらに周囲の土が圧縮され石のように飛び上がる。
着地の衝撃をそのままに、手をつき強引に勢いの向きを変えさせる。地面についた手を軸に体を水平にし回転蹴りを放つ。
敵には届かないが、目標は敵ではなく周囲に浮かんだ圧縮され固くなった土である。
「キャウン!」
「「「「「ギャフ・・・」」」」」
気配を感じるよりも早現れ、さらに目にも止まらぬ速さで正確に石を放たれたため、フォレストウルフは回避する暇もなく頭を吹き飛ばされ、転がっていく。
「一匹だけ残りましたか?しかしこれで・・・」
正確に狙い蹴った石は6匹の頭に当たったが、頭を吹き飛ばされ転がったのは5匹。残る一匹はわずかに反応し回避行動を取り、わずかに掠めた程度で難を逃れていた。
アリシアは回転蹴りの状態から足を着く間もなく、その腕に力を籠め跳躍し空中を蹴って態勢を整え残った頭目がけて拳を振り下ろした。
「「&%$!?」」
亜人の二人は目の前で起こった事態を理解できず、土煙の中で頭を失い血液をまき散らすフォレストウルフと、その中で立ち尽くす人影を眺め、聞いたことの無い言語で声を上げ固まる。
―――固定スキル『自動翻訳』を獲得しました―――
「大丈夫ですか?」
声を掛けても通じるのかと逡巡したが、初めて聞いた言語を耳にした直後に新たなスキル獲得の声が頭に響き、スキル名称から大丈夫だろうと判断し声を掛ける。
「な、何が…あ、新手のま、魔物か…?」
「…」
―――カラン―――
小柄な亜人は言葉も発する事が出来ず硬直し、その手から盾を取りこぼし、槍を構えた亜人は体を動かす事は出来なくとも、辛うじて声を絞り出した。
「魔物ではありません。亜人種、 機械生命体のアリシアです。いい時間ですのでまずは野営の準備をしましょう」
亜人の二人は硬直したままお互いの顔を向け合い、目配せすらせずに暫く動くことも喋る事もできなかった。
[名前]アリシア(Lv6)
[性別]なし
[年齢]15歳
[種族]亜人種 機械生命体オートマータ
[状態]健康
[能力値]
HP:■■■■■ MP:■□□□□
Str:Agi:Vit:Int:Dex:Luk:高い
[固定スキル]
・ステータス確認
・インベントリ(空間極大・状態保存・魂保存不可)
――New――
・自動翻訳
[スキル]
・鑑定
・解析
・並列思考
・探知
・探査
・自己修復
・身体変更
・魔力変換
・状態異常耐性
・状態異常無効
・物理耐性
・魔法属性耐性
・魔法属性無効
・聞き耳
・遠視
・格闘
・二段飛び
・三角跳び
・バックアタック