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10/12

10、失望

 朝、目が覚めると、横に裸のみのりが寝ていた。


 「おはよう」

 はにかむように、みのりが言う。

 僕の記憶は曖昧で、どうしてこんな格好になっているのか分からずにいた。

 躰を動かすと、頭が酷く痛んだ。

 「シャワー浴びて来るね」

 そう言ってみのりがバスルームに消えて行くと、僕は仰向けになって考えこむ。

 秋川の顔がチラつく。

 あいつが、あんなこと言うからいけないんだ。僕は悪くない。

 シャワーを浴び終わったみのりが、心配そうに顔を覗き込む。

 「大丈夫?」

 大丈夫なわけないだろ。

 言ってやりたいのを押さえて、僕は顔を顰めてみせる。

 「ロクちゃん、そろそろここ出ないと。起き上れる?」

 「無理」

 「そんなこと言わないで、ほら頑張って。シャワーを浴びたらすっきりするんじゃない? 浴びてきなよ」

 理性より先に躰が反応し始め、僕は力任せにみのりを押し倒し唇を重ね合わせる。

 無我夢中だった。

 実りの気持ちなど、二の次で、僕は感情のまま中へと入って行った。


 みのりが着替えを済まし、髪を整えているのを、僕はベッドからじっと見ていた。


 「ロクちゃんも早く着替えなよ。延長料金取られちゃうよ」


 みのりが、やたら大人びて見えた。


 煙草に火を点け、煙を天井に向けて吐き出す。

 その自分の仕草が、少しだけ気を大きくさせる。


 「お前さ、そんなに簡単に体を許してんじゃねーよ」


 僕は、みのりの前では格好つけていたかったんだ。初めてなんて、絶対に思われたくないって。


 「どうして……? どうしてそんなこと言うの?」


 目にいっぱいの涙を溜めて、みのりが振り返る。


 いつもなら、えへへと笑ってそうだよねと頷いてくれる。今日もそれを期待していた。

そしたら僕は、仕方がないから、付き合ってやるよと言うつもりだった。


 「ブスが泣いてんじゃねーよ」


 僕は、怒鳴っていた。


 「ロクちゃんだからだよ。ロクちゃんだから許したんだよ。どうして、そんなのが分かんないの? ずっと、ずっと好きだったのに……。ロクちゃんのバカ」


 みのりが部屋を飛び出して行き、僕のくだらないプライドがむき出しになる。


 「お前みたいなブスは、一生こんなことないと思ったから、抱いてやったんだ。僕に感謝しろよ。一応、女扱いしてやったんだからな」


 その言葉は、勢いよく閉まるドアに跳ね返された。 



どこまでもサイテー男の陸朗です。

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