1月1日 7の国 ハルバルド
どれだけの時間歩いたのか分からないぐらい歩いた。道中には見たことのない花や虫が沢山いた。こんな花や虫を見ていると異世界にやって来たのだと思ってしまうが異世界にいるという実感が今ひとつ持てない。
左腕に掘られている7という数字があるのだが、これがどうやっても消えない。前にはこんな傷なかったと思うが…
もしかしてこれが俺の所属している国の番号なのか?そう思うと納得できた。
しかし、結構歩いたはずなのに人が1人として見つからない。これだけ歩いたのなら1人ぐらい会っていてもおかしくないはずだ。
「痛っ」
左腕に電流が流れたみたいな痛みがきた。昔虐められてた時にも感じたことのある痛みだった。
腕の数字が!?
さらに痛みが増してきた。どうやら、腕に掘られている数字の辺りがこの痛みの原因だろう。
俺は辺りを見渡した。すると、遥か遠く離れた所に城?らしき物が見えた。
もしかすると、この痛みはあの国に近づいているからでは無いのだろうか?
俺はこのままその場で待機していても意味がないと思ったからその国?のような方に向かって歩き始めた。
近くに連れて痛みに慣れてきた。そんな事を思っているうちに城門のような場所の前まできた。
すると、兵士のコスプレをした奴らが近づいてきた。
おいおい、こんな異世界にまでコスプレしてる奴らはいるのかよ、マジでうける。
「おい、貴様!腕の番号を見せろ」
なんだこいつ。いきなり近寄ってきたと思ったら命令口調で腕を見せろだなんて。
俺は無視して通り過ぎようとしたが奴らは通してくれなかった。そして、俺をひょいと持ち上げ地面に叩きつけて左腕を捲られた。
「よし、確認完了。通ってよし」
兵士はそう言うと去って言った。一体何だったのか?いきなり来て地面に叩きつけられるって…門の中に入ろうとしただけなのに。本当にふざけんなよな。まあ無視した俺も悪いと思うが入るのにそこまでするか?全くもって理解ができない。
しかし、そんな考えはすぐに消え去った。
門を抜けた先にあったのは城下町のようになっていて、人が溢れるぐらいいた。
しかも何やらどんちゃん騒ぎしている。何かイベントでもあったのだろうか?
すると、城の方から声がしてきた。
「民のもの達よ。1年間ご苦労であった。これからはこの7の国、ハルバルド王国のの存続が決まる1年の到来だ。皆張り切ってくれたまえ」
どうやらこの国の国王?らしき人が演説をしている。周りにいる大勢の人はそれを聞くと歓声が上がった。
どうやら今日は前の世界で言う所の1月1日 元日らしい。
ん?7の国?そういえば何処かで聞いたことのあるような…
俺はふと自分の左腕を見た。思った通り腕には7の数字が彫られていた。
……という事はこの国が俺の所属する国かよっ
こんなに栄えているなんて…他の国もこんなに栄えているのだろうか?気になるな…
俺は辺りを見渡した。そして、1人の少女と目が合った。
すると少女は直ぐに目線をそらして逃げ出した。
「あ、ちょっ、ちょっと…」
俺の言の葉が無残にも空中に散っていった。
でも、目を合っただけで逃げられるとか本当に傷つくから辞めて欲しいものだ。俺は少女の事が気になって逃げていった方を追いかけて見たが路地裏に入ったらしく追いかけても見つからなかった。逆に迷子になった。あんまりだ。
まあ、そんなこと無視とかされるのはもう慣れたけど。
でもそんな事をされて結構傷ついた。こんなんだけどガラスのハートだぞ。
気がつくと日が傾き始めていた。夕日が綺麗だなぁ。あ・・・
俺は大事な事を忘れていた。
今日寝る場所がない。
シンプルなことだがこれが1番困る事である。今までは家があったが異世界に飛ばされたのにそんな物が用意してあるとは限らない。宿屋があって泊まるとしもお金がない。
ポケットの中には530円ぐらいはあるがそもそも、この国の通貨がそれと一緒かどうかが分からないから使うに使えない。
そんな事をして慌てているとあっという間に日が落ち辺りの街灯には明かりがつき、あっという間に俺のいる場所は暗くなった。
やばい。路地裏で迷子になっているし、挙げ句の果てには寒いし真っ暗だ。
取り敢えずこんな所でも睡眠だけは取らなくてはやばい。
俺は周囲に散らばっていた紙を拾ってきて体に巻きつけて凍えながら目を閉じた。
まさか異世界に来て初日にこんな寒い思いして野宿するとは微塵と足りとも思って見なかった。
クソッなんで俺がこんな目に…
そんなこんなで俺が異世界に来て1日目が早くも終わった。