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叱責と謝罪~エミリア6歳~

エミリアが目を開けると、心配そうな顔をしたデュークとディアンと目があった。


「あれ?私・・・?」


「エミリア大丈夫?」


「うん。ここはどこ?」


「病院だよ。」


「あ!運んでくれた人は?お礼言わないと・・・。お母様とお父様は?」


「運んでくれた人は帰ってしまったみたいで、お父様とお母様は病院の手続きをしているよ。」


エミリアの質問にデュークが優しく答える。


「勝手なことしてごめんなさい。」


「うん。心配したよ。」


未だに何も言わないディアンにエミリアは不安になる。


「勝手なことしてごめんなさい。ディアン兄様怒ってる?」


エミリアはディアンが最近一緒に遊ばなくなったのは、他の貴族令嬢に比べて傷だらけで肌も日焼けてしいる妹が恥ずかしいからだと内心思っていた。悲しくて涙が出たが、クロがいたしたまには遊んでくれたのでそれで良しとしていた。


「勝手に学園に行こうとしてごめんなさい。私が妹ってばれるの嫌だったよね。」


そういうエミリアに、ディアンは病室を出て行ってしまった。


「デュークお兄さま。私とうとうディアンお兄様に嫌われちゃったかな?」


「そんなことないよ。ディアンはすごく心配していたよ。ディアンにとってエミリアは宝物なんだよ。もちろん僕にとってもだけど。」


そう言いながら頭をなででくれるのが心地よくて、エミリアはまた眠りについたのである。


次に目を覚ますと朝だった。いつの間にか自分の部屋に運ばれたようだった。


それから結論を言うと、ものすごく両親に怒られた。怪我人なのにお父様には右頬を、お母様には左頬を叩かれた。叩かれるほど悪いことをしたと思っていなかったのでショックだったが、母の涙を見てエミリアは心が苦しくなり反省をした。


次の日も疲労が回復しなく食欲もなく、怒られたあとエミリアは昏昏と眠り続けたのである。


その次の日、侍女のアンが正午を過ぎた頃アルフォンスの来訪を告げた。


―そうだった。元はといえば私がアルに会いに行こうとしたのだったわ。アル心配させちゃったかな?でも、アル学校じゃないのかなこの時間・・・。―


小さなノックとともに、アルフォンスが顔を出す。少しやつれたようにも見えた。


「アル?どうしたの?こっち来てよ!」


そう言うと、泣きそうな顔をしながらアルが近寄ってくる。


「エム・・・。本当にごめんね。」


「アルがどうして謝るの?私が悪かったのに。ごめんね心配かけたよね。」


「ううん。エムに学校に行っても変わらずに会いに行くって約束したのに守らなくてごめん。」


「アルは忙しいのだから仕方ないよ。でも、学校はどうしたの?」


「実は、1年生はお昼まで何だ。」


「あ・・・・。そうなんだ。」


流石に、エミリアにもアルフォンスが忙しくて自分に会いに来ないわけじゃないのが分かった。


「エム。本当にごめん。実は入学して新しい友だちが出来て、エムより優先して遊んでたんだ。」


「そっか。友達出来てよかったね・・・。」


「エム本当にごめん。」


「ううん。いいの・・・。アル私と遊ぶのつまらなかった?」


「そんなことないよ。エムは初めてのともだちだもの。ただ、学校の友達は・・・。」


アルフォンスが何を言いたいのか、分かった気がした。エミリアとアルフォンスは決して好みが合うわけではない。アルフォンスは絵を描いたり読書したり室内で遊ぶことを好んだが、エミリアは何より太陽を浴び遊ぶことを好んだ。大体気の強いエミリアがアルフォンスを無理やり自分の遊びに付きあわせていたのである。


「分かったよアル。もういいよ。来年また学園で会おう。」


「なんでエム。これからはまた遊びに来るよ。」


エミリアはアルと遊びたがったが、自分のワガママに付きあわせてはいけないと思った。


「ううん。そう言ってくれて嬉しいけど、今回お父様が怒っていてね・・・。えっと、もう外で遊べないの。来年の入学に備えて勉強もしなきゃだし。だから来年学園で会いましょう。ね?」


「エム・・・・。」


「アル見てよこれ。貴族令嬢なのにおでこに傷できちゃった。抜糸したら目立たなくなるみたいだけど、一生残るみたい。お嫁に行けないってお母様に言われちゃった。腕も足も傷だらけだし。お父様今回は大激怒なの。いつもは、少しくらいの傷ならいいって言うのに。淑女教育あと半年で学ばなきゃ。なんか眠くなったわ。アル来てくれてありがとう。」


「エム。まだ僕はいるよ。ほら、昔みたいに手繋いで寝ようか?」


「ううん。私も来年入学だもの。そんなこと出来ないわ。アルまたね。」


そう言ってアルフォンスに背を向ける。エミリアの目からは涙があふれてくる。嗚咽が漏れそうになるが、アルにバレるわけにはいかない。咄嗟にアンが気を利かせてくれて、アルフォンスを退出させてくれたみたいだった。

エミリアは悲しくてたまらなかった。アルフォンスが大好きだったのである。恋愛的要素があるかといえばよくわからなかったが、エミリアにとってアルフォンスは何よりも大切だった。




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