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お嬢様の外出~アン目線~

私がお嬢様がいないことに気がついたのは、料理長と話し込んで30分経った頃でした。昼食後の紅茶をお嬢様にお持ちしようと部屋を訪ねたところいらっしゃらないことに気が付きました。


きっとお庭にいらっしゃるのだろうと探し回りますが、見つかりませんでした。その時、門番に


「おいアン!クロ見なかったか?リードごと消えちゃったんだよ。」


と言われ嫌な予感がしました。


「お嬢様も見当たらないのです。」


慌てて使用人全員で屋敷中探し回りました。


「アンこれ!お嬢様王子殿下に会いに出かけたみたい。どうしましょう。」


お嬢様の部屋から書き置きが見つかったみたいでした。手紙には―アルに会いに行ってきます。帰りはディアンお兄様と帰ってくるわ。クロと行くから心配しないで。―と書かれていました。


その時ちょうど朝から出かけていた奥様が帰宅しました。


「どうかしたの?門番がいないなんて不用心よ。何があったの?」


奥様に慌てて事の顛末を説明します。奥様はとっさに顔色を変えました。まだ六歳が王都で1人外出とは危険でしかありません。


「エミリアが出てからどれくらいたつの?」


「約一時間くらいです。」


「子供の足よ。まだ遠くまで行ってないはず。アンあなたと私は馬車で探しましょう。残りの者達は、目撃情報を元に足取りを追って。」


それから、公爵家は大騒ぎになりました。結局お嬢様は夜になっても見つかりません。王宮にいらっしゃるかと王子殿下に使いを出しましたが、いらっしゃらないとのことでした。


慌てて帰宅した旦那様とデューク様は今も探していて、戻ってきていません。ディアン様も探しに行こうとしたのですが、奥様に止められて門の前でずっと待っています。公爵家には不穏な空気が漂っていました。


20時を回った頃です。


「クロ!クロ!」


というディアン様の声が響き渡りました。


「クロ、エミリアは?」


というディアン様に、またクロが門から出ていこうとします。


「ダメだよクロ。家に入りなよ。」


リードを握るディアン様を無理やり外に連れ出そうとします。


「もしかしたら、クロがエミリアの所に連れだそうとしているのかもしれない。母様!」


「そうね。行きましょう。」


クロを追っていくと、国立病院にたどり着きました。


「おーいクロ!」


その時若い男の人の声が聞こえました。この国には珍しい隣国コリン国特有の白銀の髪の毛をしていて気品にあふれている方でした。


「もしかして、クロの飼い主さまですか?」


「はい。あの。女の子は見なかったでしょうか?」


私が尋ねると、


「はい。夕暮れ堤防を散歩していたときに、クロに突然服を引っ張られまして着いて行ったところに女の子が倒れていまして。今集中治療室で手術中です。」


そう言われ、奥様とディアン様は慌てて病院に入って行きました。


「あの。お嬢様の溶体はどうなのでしょうか?」


「命には別状はありませんよ。額の出血が激しく傷を縫ったのと他は両足捻挫したみたいです。」


「そうですか。私はウェズリー公爵家のものです。お礼をさせて頂きたいのですが、もしやコリン王国の方でしょうか?」


「はい。たまたま旅行中でして。お礼なら結構です。人を待たせているので行きますね。それにしても賢い犬ですね。」


そう言い残すと去っていってしまったのです。後日、旦那様が探せば見つかるだろうと思っていましたが、その後結局見つからなかったのです。




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