回顧3~シャイル目線~
アルフォンスのエミリアに対する執着を一番近くで見ているシャイルは、自分の恋心を自覚することはなかった。『これが好きってことなんだよ。』と言うアルフォンスの行動を見て、自分は一生誰かを好きになることはないだろうなとさえ思っていた。
学校で女の子に告白される度に、『迷惑だ!』『俺はお前なんか好きになれない!』と言うシャイルの言葉は全て本音だった。アルフォンスみたいに自分のこと好きになられるなんてたまったもんじゃなかった。シャイルはある意味素直な子だった。ひねくれていて性格が悪かったが、素直だった。
そのうち、シャイルは女嫌いと言われるようになった。エミリアがいなかったら、アルフォンスと自分ができてるように言われていたことだろう。今となっては、女性にどう接したらいいか分からなくなってしまっていた。
エミリアは、友達が出来ないのは自分がよほど何か駄目なのだろうと考え悩んでいた。そんなエミリアを見ながらシャイルはいつも言いたかった。
―お前は何も悪くない!アルフォンスが、お前に惚れた男子全員を恐怖の笑顔で『エムは僕のものだから。分かるよね?』と脅し、お前に取り入ろうとしたり、嫌がらせしようとした女子には『わかるよね?ね?』と脅してんだよ!おかげで、お前に何かあれば王子に殺されると思い、普通に仲良くなりたいやつらでも遠巻きにしか見れないんだよ。お前の兄貴にも原因があるけど・・・。―
3人は、仲の良い幼なじみという絶妙な関係を保っていた。だが、初等部高学年に上がるに連れて、エミリアの体は丸み帯びてきてたが、シャイルはその変化にずっと気付かないふりをしていた。




