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『必ず幸せにする』~エミリア17歳~

年が明け、冬休みが終わるまで一週間切ったある日のことだった。義姉のナタリーが妊娠を発表したのだ。驚きながらも喜ぶエミリアに微笑むナタリーは、既に母の顔をしていた。


あれ以来、アルフォンスとエミリアは仲睦まじく過ごしていた。何かとすぐに手を繋ぐようになったし、理由を作っては二人きりになると、アルフォンスはエミリアにキスをしようとした。


エミリアを見るアルフォンスの目に欲がはしってることに早々気づいたディアンは、2人に接触禁止令をだした。公爵家に遊びに来る度アルフォンスは、エミリアの部屋に行きたがったが、義姉のナタリーがぴったりとエミリアをガードしていた。


エミリアは幸せだった。


冬休みが終わる二日前、エミリアは義姉のナタリーとクッキーを作り、公務で忙しいアルフォンスに届けに王宮に出かけた。


エミリアの顔を見ると、アルフォンスと一緒にいたシャイルは『けっ。邪魔者は出ていきますよ~。』と言い、『これ渡したら、すぐ帰るから気にしないで!』と止めるエミリアの話も聞かずに出て行った。


アルフォンスはシャイルを追いかけようとするエミリアの腕を掴み、ソファに座らせると自分も隣に座った。


「クッキー作ってきたの。忙しいでしょ?すぐに帰るから、後でシャイルと食べて?」


と言うエミリアに、食べさせてくれるようねだった。


「殿下!」と顔を真赤にするエミリアに、


「アルでしょ?キスするよ?」と言う。


「アル!」と慌てて言うエミリアに、アルフォンスはキスをした。


未だキスをすると、涙目になりながら恥ずかしがるエミリアをアルフォンスは優しく抱きしめる。


「ねぇ。アル・・・。」


「うん?」


「私こんなに幸せでいいのかな?」


「エム幸せ?」


「うん。アルがいて幸せ。」


「僕も、エムがいるだけで幸せ。」


「アル。なんか幸せすぎて怖いの。」


「どうして?」


「アルがいつか消えちゃいそうで・・・。」


「エム。僕はエムより必ず長生きするよ。」


「本当に?」


「本当に。」


「約束してくれる?」


「約束する。エムより長生きして、エムを必ず幸せにする。」


「アル・・・。私もアルを幸せにするわ。そして、良い王妃になる。もっともっと努力しないと。」


「エム・・・。あぁ。早く結婚したい・・・。」


「私が卒業するまで出来ないよ?」


「後、一年半も色々耐えなきゃいけないなんて・・・。」


「アル、なにか我慢してるの?」


「ううん・・・。なんでもない・・・。」


というやり取りをした後、戻ってきたシャイルに『邪魔だ!帰れ!』とエミリアは部屋を追い出されて帰路についたのだった。


エミリアもアルフォンスも、ようやく掴んだ幸せが次の日崩れることになるとはその時気づくはずもなかった。



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