ともだち~エミリア4歳~
取り残されたエミリアは、戸惑いながらもアルフォンスを泣きやませるために話しかけた。
「どうして泣いてるの?」
「・・・ひっく。うえぇん。」
未だに泣き止まないアルフォンスに、エミリアはどうしていいかわからない。
―そうだ、花冠を完成させてプレゼントしよう。私が泣くと良くディアンお兄様が作ってくれて私も泣き止むもの。きっと王子殿下も笑ってくれるに違いないわ。―
「えぇっとアルフォンスさま。これあげるわ。プレゼント。」
アルフォンスはびっくりして目を見開いている。
「こんなに綺麗なもの僕にくれるの?」
「うん。プレゼントよ。あ。泣き止んだ。」
「別に泣いてないし・・・。でもありがとう嬉しい。」
そう言って笑ったのだ。エミリアも嬉しくなって笑い返す。
「そうだ。あのね。私、王都に友達がいないの。だから私と友達になってくれたら嬉しいわ。」
そう言ってのけたのだ。
当時エミリアはまだ四歳と幼かった。その上領民と遊ぶときは、領主の娘であるエミリアのワガママが通るので少し気が強かった。また王子という身分をよく理解していなかったからこその言葉である。
「ともだち?」
アルフォンスが不思議そうに首を傾げる。
「うん。一緒に遊んだりするのよ。」
「遊ぶのかぁ。うん。なんか楽しそう。いいよなってあげる。」
「やったぁ。嬉しいわ。」
そう言って二人はディアンと王女が迎えに来るまで、庭で遊んだのである。