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心の支え~エミリア16歳~

クロが亡くなってから、心の穴をアルフォンスで埋めるようになった。二人きりになると突然泣き出すことも多くなった情緒不安定のエミリアを、アルフォンスはいつも優しく見守っていた。


そんなアルフォンスにエミリアが恋心を抱くのは必然だった。婚約者というのもエミリアの恋を加速させた。将来アルフォンスと結婚できることを幸せに思い、王妃教育にもより熱心に取り組むようになった。


最近のエミリアの悩みは、アルフォンスが自分のことをどう思っているかだった。周りの子達の話を耳に傾けると、『婚約者と手を繋いだ。』とか『キスをした。』と盛り上がっていた。


エミリアはアルフォンスと手を繋いだことさえなかった。小さい頃はよく繋いでいたが・・・。


―殿下は私の事未だ妹のように思っているのよね。婚約だってきっと断れなかったんだわ・・・。お兄様の頼みだもの。―


そんなことをトイレの中で考えている時だった。エミリアとアルフォンスの話が聞こえてきたためつい耳を傾けた。


「エミリア様と殿下って、政略結婚なんでしょ?」


「違うわよ!あの二人は小さい頃からの幼なじみで、殿下からエミリア様に婚約を申し込んだらしいわよ?」


「私はエミリア様が泣きながら頼んだって聞いたわ。」


「どれが本当なのかしら?」


「でも、殿下はエミリア様を大切に思っているわ。毎朝教室に送り届け、帰りも迎えにいらっしゃるもの。大切じゃなきゃそんなことしないわ。」


「それもそうね。そういえば、エミリア様が倒れた日のこと覚えている?」


「「覚えてるわ!」」


「あの時の殿下すごく格好良かったわ!教室に飛び込んできたかと思えば、エミリア様を運ぼうとしているヘンリー様から奪い取り、お姫様抱っこで颯爽と走っていったのよね!」


「ヘンリー様は少し可哀想だったわ。彼、エミリア様に憧れているのにね。でも、本当に殿下素敵だったわ!殿下だけがエミリア様のことエムって呼ぶらしいわよ。羨ましいわ!」


「あの二人は本当にお似合いよね!並んで歩く姿なんて、絵画から飛び出てきたみたいだわ。」


そう言いながら声が遠のいていく。


―そうよ。アルフォンス様は大切にしてくださっているわ。まだ妹のようにしか思えなくても、結婚までは時間があるもの!―


そう思いエミリアもトイレから出たのだった。





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