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プロローグ
高速列車の窓から見える景色が馴染みのないものに変わっていく。そろそろ国境検問所に着くだろう。
目を閉じると思い出す大切な人達。
私のために全て犠牲に生きてきた兄。
私のために思いも告げられず諦めるほかなかった友人。
私のために婚約者になってくれた彼。
多くの人を身勝手に振り回しながら18年間生きてきた。
大切な彼らのためにもいい加減決断をしなければ。と分かっていても捨て切れなかった日々。
本当にごめんなさい。
どうか貴方達のこれからの人生が幸せでありますように。
願うことしか出来ないけれど・・・。
私は今日生まれ育った国を出て行く。
二度と帰ることはないだろう。
目を開けると国境を越えていることに気がつく。
さようなら。エドガー王国。
さようなら。