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ちょっと異世界に行ってきますね  作者: 蜂谷わさび
第1章 人違いだったようです
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第4話

「先輩と雨宮さん、お待たせしました~!神様呼んできましたっ」


声の聞こえたほうに顔を向けると、馬鹿天使ことリュークが手を振りながら私たちの前に降りてきた。


「思ったよりは速かったな。こっちは簡単な説明が済んだところだ」

「でしょうっ?僕、速さだけは自信があるんですっ」


リュークがキラキラな笑顔を周囲に振りまきながら言った。

くっ…馬鹿天使の笑顔でダメージを受けるなんて……不覚っ。


「速さだけはね。でももうちょっと僕に気を使って欲しかったな~。リュークと離れないようにするので精一杯だったよ」


と、リュークの後ろからこれまた超絶美形な黒髪に金目の男性が顔を出した。

もしかして、この人が神様?


「神様、こちらが、雨宮鈴音さんです。雨宮さん、あちらが私たちの上司で神様のシン様です」


ゼクスさんが神様--シン様を紹介してくれた。


「初めまして。雨宮鈴音といいます」

「うん。初めまして。この2人の上司で神の一柱のシンだよ。ごめんね、巻き込んじゃって」


そう言ってシン様は私に頭を下げた。


「えっ、いやシン様は悪くないじゃないですかっ。悪いのはそこの馬鹿天使ですっ」

「えっ、僕?」

「いや、何驚いてんの」


いかん、リュークが馬鹿すぎて思わず敬語が抜けてしまった。


「どう考えてもお前のせいだろうが、この馬鹿。この忙しい時に余計な手間かけさせやがって」


うん。ゼクスさんの気持ちはよーく分かります。


「取りあえず、話を進めようか。ゼクス、雨宮さんにどこまで話した?」

「アステールに住んでいる種族、季節、ギルドの存在、それからマナが不足していることとそれに関する依頼の話をし、依頼に関しては出来る範囲で行うという返事をくださいました」

「え、依頼受けてくれるの?ありがとう!無理せずにできる範囲でいいからね?」

「はい。できる限り頑張ります」

「本当にありがとう。じゃあ、雨宮さんに授ける力について考えようか?」


来ました、テンプレ!あれですね、チートな能力とかもらっちゃうやつですね!

内心興奮しているのが分かったのか、シン様は微笑を浮かべていた。


「じゃあ、まず今の能力を見ようか?ステータスって唱えてもらえる?」


ふおお、ステータスとかますますテンプレです!

取りあえず、唱えますか。


ステータス、と唱えると目の前半透明の画面が現れた。



─────────────────────

氏名:雨宮 鈴音 

性別:女

年齢:19

種族:人間


レベル:2

HP:28

MP:3


STR:8

DEX:13

VIT:9

INT:14

AGI:10

MND:17

LUK:6


称号:巻き込まれしもの

   ツイてないもの


─────────────────────


レベル低っ。MPも低っ。いや、それよりLUK低すぎません?ツイてないとは常々思ってたけど、やっぱり運は無かったのね……。あと、称号がひどすぎる。間違ってはないんだけどね。確かにその通りなんだけど、ね。うん。


「…………いや、うん。なんていうか、色々凄いね」


シン様……。あんまり慰めになってないです……。

ゼクスさんはなんで目を逸らすんですか?おい馬鹿天使、なんだその憐れんだ目は。


私がゼクスさんとリュークを恨めしげな視線を送っていると、ごほんっとシン様が咳払いをした。

ああ、ごめんなさい、シン様。そこの特に馬鹿天使のせいで。


「じゃあ、ステータスの説明をしようか。ステータスに書いてあることの意味は分かる?」

「ああ、それは大丈夫です。ゲームと同じですし」

「うん、それなら良かった。じゃあ、数値に関して説明するね。地球人のレベルは1~10で一般人では5辺りが最高だよ。だから雨宮さんのレベルは地球人としては普通だから安心してね」


あ、なんだ私のレベルが低いわけじゃなく、地球人は低いものなんだ。良かった良かった。そりゃそうか、地球じゃ魔法も魔物もないし日常でレベルが上がるようなことはほとんどないか。


「MPについては後で説明するね。でその他のやつは10辺りが多いかな。だからほとんど平均値なんだけどMNDはちょっと高いね。それよりLUKが低いのが驚きだよ。生きていけないほど低いわけじゃないんだけどね。称号は、まあLUKを見たら大体想像できるかなー」


ですよねー。巻き込まれしものは馬鹿天使のせいだろうし、ツイてないものはまあ、LUK低いしね。実際ツイてなかったし。

教室で座って本を読んでいてもクラスの誰かが投げたものがよく飛んできたし、授業中に寝ている奴に向けて先生が飛ばしたチョークがなぜか私に当たったり、流れ弾に当たったことも数え切れず。道を歩いていてボールに当たるのは日常茶飯事、自転車が盗まれたこともあるけどサドルだけ盗まれたのには困ったなー。

道端で女の人が言い争いをしていて巻き込まれないように通り過ぎようとしたら激昂して持っていたジュースを相手にぶかっけようとしてなぜか私にかかったこともあった。

あ、なんか泣けてきた。私、ツイてなさすぎでしょう。


「いや、ほら命の危機が無かっただけ良かったね?」


シン様、それは慰めになりません。

……あれ?今シン様、心を読んだ?





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