黒い服
4月から
黒い服を着るのを止めた
静かな声で
先生が
あなたの命がつきるのは
今このときかもしれない
と言われて
黒い服を着たら
あなたの鼓動が止まってしまいそうな気がして
いつも無難な黒ばかり着ていたから
黒くない服がなくて
毎日おんなじ服の繰り返しになってしまったけれど
今あれから半年が過ぎて
久しぶりに黒いセーターを着た
きっとあなたの見慣れたお母さんの黒いセーター
あなたも色のついた服が好きじゃなかったから
並んで歩くと
おそろいみたいだったね
黒い服を着たら
やっぱりあなたがいないことを思い出して
息を吸うのを忘れそうになった