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全く散々な日だった。
相談するのは恥ずかしかったが、そこで止まってしまってはいけないと思い、やっとの思いで友に切り出したというのに、友はというとまともに話も聞いてくれないのだ。
なんだったろうか……そうだ。心配は要らないんじゃない? と一点張りだったのだ。
本当にそうだったら、万々歳だ。しかし、心配することなんてできなかった。
我ながら、シスコンだと思う。
同姓の後輩であってもこれだから、彼氏などを連れてきたら世紀末にでもなれる気分だ。
しかし、その彼氏を世紀末的な意味で処刑したとしても、妹からは嫌われてしまうに違いない。
そんなことあったら、悲しい。
それこそ自殺物だろう。
はあ……。
ただ純粋に妹を想っているだけだというのに、なんとこの道は困難なことか。
自分に対して理解がある友であっても、まともに対応してくれない。
であるならば、そうではない大多数の人間からは奇異の視線を向けられることだろう。
悲しい人生だ。
いつの間にか、自分の家まで着いていた。
いつもならば、友と帰り道をして友を送ってから自分の家にたどり着くので、ここまで時間の帰らない下校というのも久しぶりだ。
……そうか、今日は友もいないんだったな。
ちょっと感傷に浸ってしまう。
こんな日は部屋に篭って寝てしまうのが一番だ。
ポケットから鍵を取り出して、鍵を開けようとするが、なぜか鍵は開けっ放しのようでなんとも言えない空回り感が手に伝わる。あの、ふいっというやつだ。
妹が帰ってきて閉め忘れているのだろうか。
無用心な奴だ。あとで注意をしておかなければ。
ドアノブをひねって、ただいまと口にしようとするが、その言葉が口から出ることはなかった。
後輩「げっ! せ、先輩!? 妹ちゃーーん!! やばいよー!!」
妹「後輩ちゃんなにー? って、お兄ちゃん!? うそでしょ!?」
兄「なんで二人して俺の姿見て叫ぶんだよ。今のガラスハートにそれはブロークンハートだよ」
妹「意味わからないこといってないで、早くでてってよー!!」
兄「なにそれ、泣きそう」
後輩「悪霊退散ー!!」
兄「おいこら」
妹「か、からの~?」
兄「どんな流れだ!?」
兄が泣く寸前まで追い詰められている時、玄関のドアが開いて客人が現れた。
その客人は、兄を教室に放っておいた張本人である――。
友「こんにちわー!」
兄「お、お前……友!?」
友「げっ」
兄「メンタルブレイク……」
後輩「せ、先輩……気をしっかり」
兄「後輩も原因の一つなんだよ!」
後輩「か、からの~?」
兄「そうか、折檻が所望か」
後輩「私はなにもいってないですよ。なにもいってないですが、土下座しますので許してください」
友「兄さいてー」
妹「お兄ちゃんさいてー」
兄「理不尽!!」
後輩「先輩さいてー」
兄「お前は黙ってろ!!」