3
友のおかげで心がくじけそうになったが、友に慰めてもらってなんとか持ち直した兄。
友が私がいてよかったでしょーと言っていたが、そもそも友がいなかったら傷つくこともなかったのだ。
とても複雑な気分である。
まあ、そんなこんなで気を取り直して。
兄「それでは証明を開始します」
友「ぱふぱふー」
兄「……なんかぱふぱふだけ言われるとエロいですね」
友「っ!? ……どんどん!!」
兄「い、痛い! グーパンチで叩かないで!」
顔を紅くしながら友は兄を殴る。
殴るといっても女子の威力なので、大した痛手にはならないのだが。
どんどん、とか言いながら攻撃するってかわいいなと兄が思えるくらいに余裕である。
そんなことを口に出してしまうと、さらに友が荒れるので決して言葉にはしないのだが。
兄「では、気を取り直して」
友「ひゅー。気を取り直しすぎだぜー」
兄「同性でも注意がいるよ!? 証明編!! まずは、あちらのお二方をご覧ください!!」
友「あれは、筋肉くんとブリーフくんか」
兄「ああ。筋肉は筋トレオタクのマッチョマン。ブリーフはなよなよしてるが、ここ一番で活躍するトリッキーだな」
友「そういえば、ブリーフくんは女子人気が高かったなあ」
兄「……マジで?」
友「疑う余地はないでしょ。綺麗な顔立ちだし、兄が言った通りにいざという時は頼りになる。これでモテないほうがおかしいよ」
兄「くっ……! やつは裏切りものだったのか。あとで処刑だな」
友「そんなことをしたら女子たちから反感買うよ?」
兄「……ブリーフ滅べぇ」
友「嫉妬乙、だよ。…………けど、兄には私がいるじゃない」
兄「なんかいったか?」
友「噛みちぎる」
兄「よろしく!!」
友「この子こわい!!」
モテ男への深い嫉妬に友は戦く。
今の兄だったら、マリアナ海溝くらいは余裕で倒せるだろう。
兄「軌道修正だ。話を戻すぞ」
友「ういー」グデー
兄「もうちょっとやる気だしてよ……」
友「ういー」シャキッ
兄「………………」
友「どうしたの」
兄「なんでもない」
別に友が姿勢を良くしたことで抜群のプロポーションが露になっていたとか、言えたものじゃない。
そうなれば、またもや友のグーパンチが飛んでくることだろう。
友から視線をそらしている兄に友は首をかしげながら、
友「変な兄だよ。それで、筋肉くんとブリーフきんがどうしたの?」
兄「ああ。俺たちがここにいたら、その現場は目撃できない。少し離れて観察するぞ」
友「あーい」
筋肉とブリーフを見つけて、その現場というものを待つことにする。
ただ待っているだけではつまらないので、友は兄と建設的な話をすることで時間を有効に使おうかなと考えた。
友「やっぱり増税って反対だよ。なんでか分かる? 百円で買えてたもなが百八十円になるんだよ。そんなの私たち庶民が耐えられるわけないよ」
兄「……消費税の計算間違ってるぞ」
友「なによ! 文句ばっか!」
兄「消費税って分かってるか?」
友「だいたい二十円のやつでしょ」
兄「駄目だこいつ……あっ! 友、きたぞ! 見てみろ!」
友「なにが……えっ」
筋肉「今日もいい尻してんな」サワッ
ブリーフ「ちょ、ちょっと」
筋肉「いいだろ少しくらい」
ブリーフ「ここ学校だよ……? あっ」
兄がこういうことだと友に勝ち誇った笑みを浮かべて話しかけようとして、自分の失敗に気づく。
そう、友は腐ってはいないのだ。
友は気分悪そうに青ざめていた。
友「もういやだこれいじょうみたくない」
兄「すまない、耐性が足りなかったか」
友「……ちょっとお花摘んでくる」
兄「じゃあ俺もモンスターでも狩ってこようかな」
友「トイレ行くのにカッコつけてんじゃないわよ!」
とりあえず、友の気分が良くなるまで休憩だ