閑話 生徒会のクリスマス
今日はクリスマス! というわけで、クリスマスの話です。
話をあまり進めてないのに、ごめんなさい……。
※一部修正しました
静かな教室で、7人の人物は机を中心にして座っていた。
そんな中、1人が腕を天高くあげて、叫んだ。
「王様ゲェェェェェェェムッ!!」
「「「イエ――――――イッ!!」」」
こうして、1日限りの『クリスマスだぜ☆生徒会役員の王様ゲーム!』が開催された。
――――――
単刀直入に言おう。
何故俺は拉致された!?
今、俺達生徒会は誰もいない無人の教室(だった場所)で、王様ゲームが開催されている。
俺としては、開催するのは別に構わないと思う。実際面白そうだし。
だが、せめて声をかけてほしかった。というかそれ以前に拉致しないでほしかった。
「………というか、なんで父さんがいるんだよ!?」
これって、題名からして役員で行うゲームだよな!? なのになんでここにいるんだ!?
「どうだ、竜也! 驚いたか!」
「そりゃ驚くわ」
父さんはフリーダムだなと心から思っていたが、まさかここまでだったとは……。
あれ、考えただけで頭が痛くなる……。
そんなことを考えている間も、ゲームはどんどん進んでいった。
「ルールは簡単。ここに1から6まで書かれたくじと、王と書かれたくじがある」
「その時、王のくじを引いた人は、1つ皆に命令ができます」
「その王が言った命令は絶対で、反することはできません」
先輩達が説明し終えて、1人ずつくじを引いていった。
東真先輩は全員引いたことを確認すると、ニヤリと笑って言った。
「いくぜ、せーの!」
「「「王様だーれだ!」」」
ガサガサと紙を開く音が聞こえ、そのあと一瞬の静寂が流れた。
俺は顔をあげると、王と書かれたくじを皆に見せている東真先輩がいた。
「よしっ、じゃあ命令するぞ! そうだな……1番と5番が、2番に愛の告白する!」
「「こ、告白ぅぅぅぅぅぅぅっ!!??」」
「告白……、っ!?」
ちょっ、告白って! しかも俺が1番だし! 2番と5番は誰なんだ!?
「仕方ないですね…。1番と5番は誰ですか?」
「私が5番です」
つまり、2番が風真先輩で、5番が高橋か……。
なんというか、すごいメンバーだな、これ……。
「それじゃあ高橋、さっさと言っちまおう」
「もしかして1番、翠川君?」
「薫達じゃなくてよかったですよ」
先輩、毎回思ってるんですけど、本当に無意識に毒舌なんですか?
あまりそう思えなくなってきたんですけど…。
まあいいや、さっさと終わらそう。
俺は高橋に合図をして、風真先輩の方を向いた。
「「先輩……好きです。ずっと一緒にいてください」」
「………………///(コクリ)」
「ちょっ、先輩!? なに顔を真っ赤にさせて頷いてるんですか!? 命令でやっただけですからね……って、なんで落ち込むんですか!?」
あれ、風真先輩ってこんなキャラだっけ!? キャラ崩壊してないか!?
(ねぇ、風真ってもしかして……)
(おう、その通りだ)
(もしかして東真、風真が2番だと知ってて…?)
(お前、結構策士なんだな……)
なんだろう、先輩達が後ろで何かを話しているけど、知ってはいけない内容のような気がする。
とりあえず風真先輩を落ち着かせ、再び皆で机を囲って座った。
「じゃあ、2回戦目を始めましょう。せーの!」
「「「王様だーれだ!」」」
「……あ、私ね」
今回は薫先輩か。
あまり変な命令を出さないでほしいんだけどな……。
「そうね、王は4番に、3番は2番におもいきりデコピンをする」
「イャァアアアアアア!! 薫のデコピンだけは―――――――っ!!」
「うっわ、俺2番じゃん!」
……………へぇ~。父さんは2番なんだぁ~。
俺はそれを理解した瞬間、無言で父さんの腕を掴んだ。
それに驚いている父さんを尻目に、自分の引いたくじを見せた。
『3』
この時父さんが青ざめたのがわかったが、俺はニッコリと微笑みかけた。
「竜也、落ち着け! できればあまり痛くせずに……っ!」
「何言ってるの? まさか父さん、忘れたなんて言わないよね?」
「そのことは彩花にも言えるわよ? 最初に言ったでしょ? 王様の命令は――」
「絶対、ですね……(汗)」
「イャァアアアアアア!! 死にたくないぃぃぃぃぃっ!!」
「それじゃあ父さん、我慢、シテネ…♪」
ギャァアアアアアアアアアアアアッ!!!
………正直、やりすぎたと思ってる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
10分後、気絶死ていた(←誤字無し)父さんと彩花先輩が復活した。
「ほ、本当に、手加減無用だったな……(ガクガクブルブル)」
「そ、そうだね……(ガクガクブルブル)」
「だから謝ってるじゃないの」
「俺達だって、ここまでするつもりはなかったし……」
いや、本当にするつもりはなかったんだ。
けど今までされてきた行為を思い出したら怒りか積もってここまでしてしまっただけなんだ。本当だぞ!
「それじゃあ2人が復活しましたし、3回戦目をやりましょうか」
「そうですね。では…」
「「「王様だーれだ!」」」
ここまで1回も王様になれなかったからな……そろそろなっておきたいな。
しかしくじに書かれていたのは、王という文字ではなかった。
「あ、私が王様です」
今回は高橋か。多分大丈夫だと思うが……。
「優奈、キツいのを命令したらどうだ?」
「キツいのですか? そうですね……じゃあ、6番は壁に沿って部屋を100周して、猫の真似をしてください」
「確かにキツいわね、それ……」
今回は会長の意見に賛成だ。
10周ならともかく、100周はキツいな……。
「ふぇっ、また私!?」
あ、彩花先輩なんだ。後愁傷様です……。
「ほら、彩花。早くやってください」
「うぅ……言われなくても今やるよぅ……」
彩花先輩は立ち上がり、数を口にして数えながら回り始めた。
~しばらくお待ちください~
「……………………………ニャア……」←今にも気絶しそうな状態
「彩花……強く生きなさい……」
「東真、あなたがあんなことを言わなければ……」
「……正直、かなり後悔している……」
……なんだ、このカオスな状況は。
現に高橋が、暇になって本を読み始めちゃってるし……。
「とりあえず、次で最後にしましょうか」
「だな。流石に疲れてきたし……」
「それじゃあ、ラスト! せーの!」
「「「王様だーれだ!」」」
さて、なんて書かれて……っ!?
「えっと、俺が王様です」
「おっ、最後の最後に竜也か!」
父さんの言った通り、俺が王様のくじを引いた。
しかし、これといって命令したいのがないな……。
そう考えている時、家のある場所が思い浮かんだ。
「あっ……」
「なんか思いついたか?」
東真先輩の言葉に頷き、皆の方を見て言った。
「俺の家で、クリスマスパーティーをしませんか?」
「「「クリスマスパーティー?」」」
俺の言ったことに、皆が声を揃えてきいてきた。
「はい。実は昨日、安売りしてたので材料を買いすぎてしまいまして……。なので帰りにケーキを買って、俺の家でパーティーをしませんか?」
俺が問うと、顔を見合わせて笑い、会長が口を開いた。
「竜也君、あなたは今王様よ? 言い方がちょっと違うんじゃないかしら?」
「言い方?」
………ああ、成る程。そういうことか。
「それじゃあ、改めまして……1から6番の全員は、クリスマスパーティーに参加すること!」
「「「了解!」」」
このあと、俺達はケーキを買って、俺の家に向かった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「「ただいま」」
「「「お邪魔します」」」
俺は皆(竜次含む)をリビングに座らせて、料理を作り始めようとした。
その時、後ろに人の気配がしたので振り返ってみると、そこには高橋が立っていた。
「高橋どうした?」
「1人じゃ大変だと思って手伝いにきた」
「手伝ってくれるのか? ありがとな」
客人なのに自ら手伝いにきてくれるなんて…どっかのバカ親父と違っていい子だな、高橋って。
俺はその優しい気遣いをありがたく貰うことにした。
――――――
優奈が竜也の手伝いをしている頃、リビングでは……
「ん~……これだっ! って、ババ――――――ッ!!??」
「フフッ、甘いわよ東真。これであがりね♪」
「はい、僕もあがりです」
「私もあがりっ!」
「俺もあがりだから……ビリは東真だな」
「くそぉ――――――――っ!!」
……のんびりとババ抜きをしていた。
――――――
「さてと、このくらいでいいかな?」
俺達は料理を作り終え、リビングに運んでいた。
………というか、何ちゃっかりトランプで遊んでんだよ。しかも俺の家にあるトランプじゃねーか、それ。
「おっ、できたか!」
「できたよ。優しい誰かと違って皆が遊んでいる間にね」
この言葉に、高橋以外全員が俺から目を逸らした。
というか逸らすなら最初から手伝ってくれ。2人でも作るのキツいんだから。
「もういいよ…。それより、早く食べよう」
「そっ、そうだな! せーの!」
「「「いただきます!」」」
そう言うと、さっきの出来事を誤魔化すかのように、皆ガツガツと料理を食べていた。
「! 美味いっ!」
「お、美味しいわね……(ガクッ)」
「……………………しくしく」
「ちょっ、なんで会長は美味しいと言いつつ項垂れてるんですか!? そして彩花先輩はどうして泣き始めるんですか!? 落ち着いてくだs(ドスドス)って高橋!? 箸で壁を叩くな!?」
なんでこんなカオスになってるんだよ!?
なんだ? もしかして俺の作った料理が不味かったのか!?
すると俺の考えていることがわかったのか、会長がひきつった笑みをうかべて喋った。
「大丈夫よ。料理が不味かったわケデハナイカラ……」
「先輩!? その喋り方はあまり説得がありません、というか怖いです!?」
というか、料理が不味かったわけではないのなら、なんでこんな状況になってるんだよ!?
(美味いんだが……男子にしては料理が上手すぎないか?)
(実は俺、料理したことなかったから、小さい頃から妻が竜也にやらせてたんだよな……)
(成る程、そういうことですか……)
そこで固まってヒソヒソ話してる男子軍、いいからこっちを手伝え! なんか俺だけじゃ収集がつかなくなってきてるんだよ! それに俺が一言喋っていくと、余計に悪化してるんだから!
~しばらくお待ちください~
「……………………………………」
「竜也、大丈夫か?」
「返事を返せるような状態じゃあないきがしますけどね……」
「さて、何か言うことは?」
「「「ごめんなさい」」」
やばい、なんかこのまま気絶死ても(←誤字無し)おかしくない状態になってきた……。
だけどこのままじゃまずいし、早く起きないとな……。
「………フゥ…、よっと」
「あ、竜也君ごめんね」
「まさか私達よりもでき―――じゃなくて、料理が上手だとは思わなくて」
「それなら気にしないでください。小学生の頃から『先生顔負けの上手さだね』って言われてましたから」
「「「…………………………」」」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
俺がそう言うと、皆が一斉に父さんを見て、何故か見られた父さんは謝っていた。
あ、もしかして皆『小学生に家事をやらせていたのか……』って思ったのか? だったらすぐに訂正させなきゃ。
「違うんですよ。俺が料理してたのは、母さんに『父さんに竜也の手料理を食べさせてあげてね。そうすればきっと喜んでくれるから』って言われたからなんです」
「りゅ、竜也! それ以上は――」
(((この父親は……)))
「? それ以上は?」
「――なんでもないです」
何故敬語。
まぁ、なんでもないなら別にいいんだけど……。
そう思いながら、俺はそばにあった飲み物を飲んだ。
「あっ、竜也! それはただの飲み物じゃない!」
「へ?」
その言葉を聞いた直後、急に平衡感覚が無くなり……
そのまま意識を失った―――。
――――――
「竜也…? おい、しっかりしろっ!」
「ま、まずい……この状況はかなりまずい…っ!」
「先生、何か知っているんですか!? というか竜也君が飲んだ飲み物はなんだったんですか!?」
いまいち状況が理解できない中、竜次はこのあと起こるであろう状況を想像し、サッと顔を青ざめていた。
そんな竜次が何か知っているとわかった薫は、何を知っているか、そして竜也が何を飲んだのか聞いていた。
その問いに、未だに顔を青ざめながらも答えた。
「まず最初、今竜也が飲んだ物は……酒だ」
「「「酒ぇ!!!???」」」
皆が呆然としている中、竜次は言葉をどんどん紡いでいった。
その状態は、まるで早くこの場から立ち去りたいと思っているかのようだった。
「実は竜也、小さい頃にジュースと間違えて酒を飲んでしまったことがあるんだ……」
「手の届く場所に置いてちゃ駄目でしょう!?」
「今そこは放置だ! そしてその時俺の横に来て、いきなり頬に……キスをしたんだ」
「「「キスぅ!!!???」」」
「そしてそのあと『パパ、大好き~~~♪』と言って何回もしてきたんだ……」
「えっと、つまり竜也君は、酔うとキス魔になるんですか?」
「いや、キス魔であるが、そこからさらに男好きが追加される」
「「「まさかのゲイ化!!!???」」」
皆が何回も驚いているが、無理もないだろう。
クラスでは『クールで無口な一匹狼男子』であり、生徒会では『生徒会のツッコミ役』になっている竜也が、酔うと『男好きのキス魔』になってしまうなんて。
そこからさらに竜次が説明しようとした、その時だった。
「お・と・う・さ~ん♪」
「っ!!??」
いつの間にか起き上がっていたゲイ化竜也が、竜次の後ろに立っていたのだ。
竜次はそれに気づいて逃げようとするが、竜也が腕をガッチリ掴んでいるため、逃げることができなかった。
それを見て、竜也はフフフッと笑った。
「お父さん、何で逃げようとするのかなぁ~。ボク、ちょっと傷ついたよぉ~?」
「グッ……ひとまず腕を離せ、竜也! 話はそれからだ!」
なんとかキスされるのだけは避けようと、必死に竜也を説得しようと試みるが、竜也はただ笑っているだけだった。
そして次の瞬間、竜也は竜次の頬にキスをしたのだ。
「っ!!」
「「「……………ハイ?」」」
「ンフフ~♪ みんな反応がかわい~♪」
この竜也を見て、生徒会役員全員は理解した。
確かに男好きのキス魔だ、と。
その瞬間双子はその場から逃げようとするが、時は既に遅かった。
「風真センパ~イ♪」
「うわぁっ!?」
双子の片割れ……風真は、竜也が竜次にキスをした時点で、次のターゲットになっていたのだ。
それに気づいた東真は、竜也を風真から離れさせようと脳をフル回転させるが、どうしても良い案が見つからなかった。
もうあの2人の間に割り込もうかと思った瞬間、竜次が竜也を呼んだ。それに反応して、竜也は竜次の方へ向かった。
「お父さん、なぁに?」
「竜也、あーん」
「? あーん」
パクッ
竜也は竜次に言われた通りに口を開き、差し出した物を口に含んだ。
その瞬間、竜也は前のめりになり、竜次の腕の中にフィットした。
皆は何事かと思って近づいてみると、そこには竜次の腕のなかでぐっすり眠っている、竜也の姿があった。
「先生、何を食べさせたんですか?」
「ん? これだよ」
そう言って竜次が見せたのは、一口サイズのチョコレートだった。
「いやな? 昔に竜也をなんとしても落ち着かせようとして、いろんな物を食べさせていたんだ。その時、一口食べてこの状態になったのがチョコレートだったんだ」
「成る程、それで……」
皆その事に納得しながら、別の事を考えていた。
(((絶対に酒を飲ませないようにしないと……)))
この時、この場にいた全員の考えが一致した瞬間だった。
そのあと、竜也が起きる気配が全くなかったので、生徒会のクリスマスは、これでお開きになった。
来年もやりたい、そんな気持ちを胸に残しながら――――。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
後日、生徒会にて。
「すみません、昨日ってどうなりましたか? あの後の記憶が全く無くて……」
「「「知らなくて大丈夫ですから!!」」」
「は、はぁ……」
一斉にそう言われ、竜也は昨日のことに疑問を持ちながらも、生徒会の仕事をこなしていくのだった。
皆さんわかっていると思いますが、本来中学生で酒を飲んではいけません。
これはフィクションだから飲んでるだけです。
良い子は、いや、悪い子も真似しないでください!