僕の存在
今から僕は僕という存在に問います。正直にお答えください。
-わかりました。
僕は誰ですか?
-僕は僕です。
何故僕というのですか?
-親が決めたからです。
僕はどうしてここにいるのですか?
-生まれてきたからです。
なぜ僕が生まれたのですか?
-そうなる運命だったからです。
なぜ僕はその運命通りに生まれたのですか?
-そう決まっていたからです。
では他の運命も決まっている。ということですよね?
ほかの運命ではダメだったのですか?
-決められた運命は変えることができないからダメだったのではないかと思います。
何故決まっているとわかるのですか?
-………
つまりなぜかはわからないけど僕はここに生まれた。
そう受け取っていいのですね?
-はい……
では、次の質問に入ります。
僕は何ですか?
-僕は僕です。
前世はなんだったんのですか?
-わかりません
では前世も僕だったということもありえるんですよね?
-いえ、それはないです。
なぜですか?
-僕は親の遺伝子で決まって生まれてきたのです。
では、前世も同じ親で同じ僕が生まれてきたということはないのですか?
-はい、ありません。
なぜそう言い切れるのですか?
-人は生まれ変わるからです。これを輪廻転生と言います。
では動物はずっと動物に生まれ変わるのですか?
-いえ、動物もたまに人間に生まれ変わります。
では何故人口が爆発的に増えないのですか?
動物も人間になるなら数百億はもう超えてると思うのですが。
-………
少し脱線してしまいましたね。
つまり初めて僕がここにできた。
そういうふうに受け取っていいのですね?
-はい……
では、次の質問に入ります。
僕はなんで僕なのですか?
-僕だからです。
僕の友人を一人挙げてください。
-○○君です。
その人をもう少し詳しく教えてください。
-○○君はかっこよくて、頭が良くて、明るい人です。
では、僕について詳しく教えてください。
-僕は○○君と正反対です。
なぜ、そう言い切れるのですか?
-僕のことは僕にしかわからないからです。
その割には○○君の詳細と同じくらいしか分かってませんよね?
-…そうですね。
と、言うことは○○君と僕は同じということですね?
-そうですね、同じ人間ですから。
では、僕と○○君が変わってもわからないということですね?
-いえ、見た目が違うのですぐにバレます。
なぜですか?同じなのに。
-個人差があるからです。
なぜ個人差があるのですか?
-人間の染色体はそれぞれバラバラで、ひとりひとり違うからです。
同じに人間なのに何故違うのですか?皆同じだったほうがいいのでは?
-誰が誰だかわからなくなるからです。
でももとはひとつの個体ですよね?
-ええ、まぁ。
なのになんでここまで違うのですか?
全部統一しても良いのでは?
-みんながみんな同じだと気持ち悪いでしょう?
なぜ気持ち悪いのですか?
-同じことを考えていて、同じことをする奴らって気持ち悪くないですか?
それもそうですね、では、あなたと○○君は同じ個体だけど、考え方、存在が違う。ということですか?
-ええ、まぁ。
そうですか、わかりました。
ありがとうございました。
では、今まで聞いてきたことを全て振り返り、もう一度お聞きします。
僕は一体何ですか?
僕は誰なんですか?
鏡に向かって時々僕について考えているときがあります。
上に書いたみたいな内容で問いかけます。
自分がどうしても他人に思えてしょうがないのです。