どうシて、
嫌われですので、苦手な方、Uターンお願いします!
僕は、なにをしたのだろう。
どうして、みんなに嫌われたのだろう。
批難されるような事もしていない、つもりだ。
成績だって、中の下くらい。
特に目立った事はしていない。
なのに、どうして―――――
先生のいない放課後に、僕はそんな事を考えながら、みんなからの暴行を、抵抗もせずに受けていた。
「おら、なんとか言えよ。」
亮が、僕の髪の毛を掴んで、僕に顔を上げさせる。
どうせなにか言ったところで、状況は変わらないだろう。
亮の顔を、死んだ魚の様な目で見ていた。
亮の瞳が、口元が、少しだけ、よく見ないと分からないけど、震えていて。
それは、亮が〝辛い〟と感じているときにあらわれる、僕だけが知っている亮の癖だった。
僕は、ソレに気が付いていたのに、何も言えなかった。
「言えって言ってるだろうが!」
武藤君のその言葉をきっかけに、みんなからの暴行が再び始まった。
全身に、表現しようのない痛みが走る。
どうしてだろう、もう慣れたのに。
頬に枯れた筈の涙が伝ってくる。
悲しいのか、痛みからなのか、理由は分からないがポロポロと止まらない涙。
みんなが笑う。
すぐそばなのに、どこか遠くに感じるみんなの笑い声。
その声が、楽しげで、恨めしいと思う反面、羨ましいとさえ思った。
「なに見てんの」
そう言って鈴木が、転がっている僕を思い切り踏みつける。
息ができない。窒息してしまいそうだ。
さっき涙で充分濡れたはずの瞳がまた潤む。
「汚いからやっぱ止めよっと。」
鈴木の足が僕から離れたため、ようやく酸素が僕の肺に流れ込んでくる。
「おい、これ、お前にプレゼントしてやるよ。」
武藤君の声が上からした。
見上げると、ニヤリと口角を上げるのが見えた。
プシューッ
炭酸飲料が、勢いよく僕に降りかかる。よく振っておいたのだろうか。
こんな事、小学生でもしねぇよ。
心の中でボソッと呟き、髪から滴る水滴を、制服の袖で軽く拭いた。
「そろそろ完全下校だし、みんな帰ろうぜ。」
武藤君のその言葉で、“今日の”虐めは終了した。
ジュースが糖分入りだったようで、制服がべとべとしていた。