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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴


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ムダな関係維持の努力

「クリスティ、おはよう。今日もカワイイね」


「あっ、ルディ。ありがとう、またね」


 後ろから声を掛けたのに、僕の顔を確認すると気まずそうに顔を逸らして、すぐに立ち去ってしまう。


(僕達は婚約者なんだよ。クリスティ?)


 去りゆくクリスティの背中を見ながら僕は呟くが、それはすぐに空気と溶け合い霧散していく。

 そして僕の言葉はもう、彼女に届く事はないのだろう……

 婚約者に邪険にされて悲しくないワケじゃない、でもスライムしかテイム出来ない僕とはイヤなんだろうね。


 突き刺さる現実に肩を落とし、彼女の心を捕まえておけない自分に苛立ち、凄く悔しい。

 家までの道をトボトボと歩いていく。イヤな視線をあっちこっちから感じる。


 村の中では既に僕のスキルの事が広まっている。

 期待されて裏切った無能、というレッテルが貼られていた。

 村人達からは俺に向けられる笑顔から、軽蔑と嘲笑いに変わってる。

 今までの好意から反転した態度に戸惑っている。


 途中で『勇者』を授与されたランドルフを見かけるが、その後ろをラウラが追いかけてる。僕は親友のランドルフならと思い、声をかけてみた。


「ランドルフ、僕は……」


「もう、ルディは後から来てボク達の邪魔をしないでよね。ランドルフもボクと遊んでいるでしょ」


 小さな頃から僕を追いかけてくれていた女友達は、『勇者』様にお熱になったようだ。

 少し寂しい気持ちにもなる。だが、恋愛や交友関係に僕が口を出すのも違う気がする。


「うん、そうなんだ。ゴメンね」


 ランドルフは一瞬コチラを見て『ニチャ』っと薄気味悪い笑顔をする。その顔に少し気持ち悪いモノを感じた。ランドルフは突然、ラウラの肩を掴むと抱き寄せていた。


「あん、ランドルフったら……」


 赤い顔をしてモジモジするラウラには気持ちの悪い顔とは感じないのだろうか?

 女の子は良く分からないね。そんな事を考えていると……


「ラ〜ン〜ド〜ル〜フ」


 タタタッと走り寄ってきてランドルフに抱きつく、小さな影がいる。義理の妹ルイーゼ。


「いった〜」


 僕は邪魔だったのだろうか? ルイーゼに突き飛ばされて膝を擦りむいた。コチラを見ることもしないでランドルフに頬を寄せている。

 膝の痛みよりも……


「あらあら、仲良しさんね。ランドルフちゃん、お姉ちゃんも……」おっとりした口調で、微笑んでいる義理の姉ウルリケ。


 倒れ込んでいる僕の横を通り過ぎ、ランドルフに抱きつくウルリケ姉。普段の世話焼きな姉とは思えない対応に固まってしまう。僕が姉妹達から貰っていた無償の愛は、どうやら有効期限が来てしまったようだ。


 ランドルフの現在の状態は右側にラウラ、左側にルイーゼ、後ろからウルリケ姉が抱きついてくる。勇者の特性なのだろうか、女達に囲まれても身体能力が上がっているのだろう、身動きが出来ている。

 正直いって羨ましい。悔しい。

 何度目になるのだろうか? 僕は叶う事のない願いを、胸の中に押し込めて……下を向くしか無かった。


「ランドルフから離れて〜。もう、私の場所なのよ」


 一番最後に合流したのが、先ほど会った時は忙しそうにしていたのに……僕の婚約者でもある村一番の美少女クリスティだ。しかし彼女はランドルフにくっついていた女達を一人一人剥がしていく。


 そして自分の場所を確保したクリスティは、満足そうにしている。イヤイヤ、僕の婚約者でしょ?


「アンタは、スライムの嫁でしょ」


 ラウラがアゴで僕の方をクイッて指す。『スライムの嫁』扱いされ今まで見せた事のないような顔で、キッと僕を睨んだ。


 これまでの当たり前だった日常だった事がまるで、裏返しの世界に迷い込んだみたいだ。

 僕が顔を上げると……ランドルフは興奮しているのだろう鼻の穴を広げていた。さらに口からヨダレを出したようなダラシないイキ顔で、昇天しているような顔をしていた。


「そうだ。良いこと思いついた。今から俺達で魔物を倒すぞ」


 まさに『勇者』の行いだろうと、気を良くして勇者ゴッコを始めるつもりだ。だけど……チャンスかも。


「僕も手伝うよ、お願いだよ。連れて行って」


 足手まといになるのも分かっているけど、彼らとの関係も諦めたくはない。僕が選択出来る事は、彼らに着いていくしか出来ないけど……少しは役に立てるはず。皆からは苦い顔をされた。

 しかし、ランドルフの説得で結局は荷物持ちというおとり役として同行する事になっていた。


 それからは絶望の日々だった。今まで信じてきた仲間達におとりにされ、魔物退治の度に命の危険を感じた。

 それも一度や二度どころでは無い。いつも命をかけていたのは僕だが、それでも称賛されるのは『勇者』とその取り巻きの女達ばかり。

 国のお偉いさんも領主様も『勇者』をありがたがり、国の教育機関へ成人したら女達と共に通うらしい。


 僕? 当然、ガン無視されてます。


「スライムはちょっと……」だってさ。


 彼らとは、成人するまでの付き合いになりそうだ。それなら彼らとの関係を、続けていく意味を見出せなくなった。一大決心して、今後の勇者ゴッコの同行を断ろうとしたら……最後にと討伐に誘われ、受けてしまった。


 そう、返事をしたときのランドルフの顔は『ワナにかかった』っという感じで……僕は既に後悔していた。

 細心の注意をしていたはずだが、おとりになる。それしか出来ないから。

 彼らのいる方向に魔物を誘導していたら……最初からそのつもりだったのだろうね。僕の逃げ道に、魔法で作った落とし穴が仕掛けてあり……最後には狼型の魔物に追いつかれて。左腕を失った。

 その時のランドルフだけでなく、女達も笑顔だった。




『キュイキュイキュイ』


 青いプルプルボディをこれでもかと俺に押し付けて甘えてくるアオイ、カワイイな。


「ふわぁ〜、よく寝れたな〜。左腕が無くなる前の夢を見るなんてな……未練なんか無いと思っていたのに」


だけど、ヤツらの行いも再確認できたな。



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