時間代という名#4
時間代の説明書を公開してから三日後——俺は実務長の部屋にいた。
机の上には、評議会からの通知書が置かれていた。
「レオン、これを見ろ」
実務長は、通知書を俺に渡した。
俺は、それを読んだ。
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【評議会通知】
銀章暦三二年コナト月二七日
レギス・レジャー殿
セブン・ヴォルト関係者セラドの不正事件について、
評議会での審議を延期いたします。
延期理由: 追加調査の必要性
次回審議予定: 未定
グラン・バルト評議会
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「……延期?」
俺は、眉をひそめた。
「これで三回目だ」
「三回目……」
「ああ。最初の審議は、コナト月二〇日の予定だった。それが二三日に延期され、さらに二六日に延期され——そして今回、また延期された」
「それは……おかしいですね」
「ああ。明らかに、圧力がかかっている」
実務長は、腕を組んだ。
「評議会の中に、セブン・ヴォルトを庇う者がいる」
「誰ですか?」
「わからん。だが、有力な商人か、貴族だろう」
「……」
俺は、通知書をもう一度見た。
「追加調査の必要性」——それは、建前だ。
本当の理由は、セブン・ヴォルトを守るため。
「実務長、このままでは永遠に裁かれません」
「そうだな……」
「侯爵様に、直接訴えましょう」
「侯爵様に?」
「はい。評議会を通さず、侯爵様に直接訴えるんです」
「だが……それは、評議会を飛び越えることになる」
「評議会が機能していないなら、仕方ありません」
俺は、真っ直ぐ実務長を見た。
「このままでは、セブン・ヴォルトの不正が闇に葬られます」
「……」
実務長は、しばらく黙っていた。
そして——頷いた。
「わかった。侯爵様に会おう」
「ありがとうございます」
「だが、どうやって会う?」
「アデル様に、取り次いでもらいます」
「アデル様……侯爵様の娘か」
「ええ。以前、報告書を渡したときに会いました」
「なるほど……」
実務長は、立ち上がった。
「じゃあ、今すぐ行こう」
「はい」
俺たちは、レギス・レジャーを出て、アデル様がよく訪れる『ルナの織物』に向かった。




