街道の魔物#4
輸送保険を導入後——レギス・レジャーの窓口には、輸送を依頼する商人たちが並ぶようになった。
「保険料が6パーセント? それなら安い!」
「セブン・ヴォルトは1割も取るからな」
「しかも、護衛もちゃんと付けてくれるんだろ?」
商人たちは、満足そうに頷いていた。
俺は、一人一人に輸送護衛契約書を説明した。
「この契約書に、輸送先、金額、護衛人数、保険料——全部書かれています」
「わかりやすいな」
「そして、引き継ぎ記録も残します。どの区間で何があったか、全部記録されます」
「それなら、安心だ」
最初の依頼者は、商人フリードリヒだった。
「グリュンハイムまで、シルバ150枚を送金したい」
「グリュンハイム……東街道ですね」
「ああ」
俺は、契約書を書き始めた。
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【輸送護衛契約書】
契約日: 銀章暦三二年コナト月一八日
依頼者: フリードリヒ
輸送先: グリュンハイム
輸送額: シルバ150枚
護衛条件:
街道: 東街道(危険度: 中)
護衛人数: 最低3人
護衛費用: 一人あたりシルバ5枚
総費用: シルバ15枚
輸送保険:
保険加入: ☑ あり
保険料: 輸送額の6パーセント(シルバ9枚)
補償額: 輸送額の全額(シルバ150枚)
責任範囲:
第一区間(レギス・レジャー→東門): 責任者ヨアヒム
第二区間(東門→グリュンハイム): 責任者ヨアヒム+護衛3名
署名:
依頼者: フリードリヒ
レギス・レジャー: レオン・ミナト
冒険者ギルド: ブルーノ
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「総額で、護衛費用15枚と保険料9枚——合計24枚です」
「24枚か……」
フリードリヒは、少し渋い顔をした。
「ちょっと高いな……」
「ですが、もし魔物に襲われて銀貨を失っても、保険で全額補償されます」
「そうか……じゃあ、安心だな」
「はい」
フリードリヒは、契約書にサインした。
「じゃあ、いつ出発するんだ?」
「明日の午前二ベルです。東門で、ヨアヒムと護衛が待っています」
「わかった」
フリードリヒは、シルバ150枚と、護衛費用と保険料の24枚——合計174枚を渡した。
俺は、それを金庫に納めた。
そして——ヨアヒムに連絡を取った。
「ヨアヒムさん、明日の午前二ベル、東門で出発です」
「わかりました」
ヨアヒムは、まだ額に包帯を巻いていたが、表情は明るかった。
「今度は、ちゃんと護衛を三人雇えますからね」
「ええ。それに、引き継ぎ記録も忘れずに」
「はい」
俺は、引き継ぎ記録の用紙を渡した。
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【輸送引き継ぎ記録】
契約番号: RL-輸-三二-コ-〇〇〇一
輸送日: 銀章暦___年___月___日
輸送額: シルバ___枚
第一区間(レギス・レジャー→東門):
出発時刻: ___
到着時刻: ___
担当者: ヨアヒム
確認者: ___
異常の有無: □ なし □ あり(内容: ___)
署名: ___
第二区間(東門→グリュンハイム):
出発時刻: ___
到着時刻: ___
担当者: ヨアヒム
護衛: ___, ___, ___
確認者: ___
異常の有無: □ なし □ あり(内容: ___)
署名: ___
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「各区間の到着時に、必ずこれに記入してください」
「わかりました」
ヨアヒムは、用紙を大切そうに受け取った。
「レオンさん、ありがとうございます」
「何がですか?」
「この仕組みを作ってくれて。これなら、もう責任を一人で背負わなくて済みます」
「それが、この仕組みの目的ですから」
俺は、微笑んだ。
「お互いに、頑張りましょう」
「はい」




