表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融帳実務録 ~転生銀行員が金融知識で成り上がる~  作者: しじむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/60

街道の魔物#1

偽造約束札の騒動から二日後——レギス・レジャーの窓口は、いつもより静かだった。


告知が効果を発揮し、商人たちは番号のない約束札を受け取らなくなった。

セブン・ヴォルトの偽造約束札は、流通が止まった。

だが——その静けさは、嵐の前の静けさだった。


午前三ベル、建物の扉が勢いよく開いた。

一人の男が駆け込んできた。

名前はヨアヒム。レギス・レジャーの使送——銀貨を輸送する担当者だ。

だが、今の彼は泥だらけで、服は破れ、額から血を流していた。


「実務長! 大変です!」


ヨアヒムは、息を切らしながら叫んだ。

俺とミラは、すぐに駆け寄った。


「ヨアヒムさん、どうしたんですか!」


「魔物に……襲われたんです……」


「魔物?」


「はい……街道で……」


ヨアヒムは、その場に崩れ落ちた。

俺は、ミラに言った。


「ミラさん、消毒薬と包帯を持ってきてください」


「はい!」


ミラが駆けていった。

俺は、ヨアヒムを支えて椅子に座らせた。


「落ち着いてください。何があったんですか?」


「……東門の街道で、銀貨を輸送中に……魔物の群れに襲われました……」


「魔物の群れ……」


「はい……狼型の魔物が五匹……護衛の冒険者が二人いましたが……一人が重傷を負って……」


「銀貨は?」


「……失いました」


ヨアヒムは、俯いた。


「シルバ200枚……運んでいた袋を、魔物に奪われました……」


「200枚……」


俺は、息を呑んだ。

200枚——決して小さくない額だ。


「護衛は、どうなりましたか?」


「一人は軽傷で、何とか戦えました。もう一人は……足を噛まれて、動けなくなって……わたしが背負って、何とか街まで逃げてきました……」


「その冒険者は、今どこに?」


「冒険者ギルドに運びました……」


ヨアヒムは、震える声で言った。


「すみません……わたしの責任です……」


「いえ、あなたの責任じゃありません」


俺は、ヨアヒムの肩を軽く叩いた。


「魔物に襲われたのは、不可抗力です」


「でも……銀貨を失って……」


「それは、後で考えましょう。まず、あなたの傷を手当てしてください」


ミラが、消毒薬と包帯を持って戻ってきた。

俺たちは、ヨアヒムの額の傷を拭き、包帯を巻いた。

幸い、傷は浅い。


「ヨアヒムさん、今日はもう休んでください」


「でも……実務長に報告を……」


「俺が報告します。あなたは休んでください」


「……すみません」


ヨアヒムは、疲れた顔で頷いた。

俺は、実務長の部屋に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ