約束札の番号#3
番号管理を始めてから三日後——レギス・レジャーの窓口には、相変わらず約束札を持った商人たちが並んでいた。
だが——雰囲気が、以前と違っていた。
「この約束札、本物ですか?」
「番号が振られてないんですけど、大丈夫でしょうか?」
「セブン・ヴォルトの約束札は、信用できるんですか?」
商人たちは、疑心暗鬼になっている。
ハンスの偽造約束札事件が街中に広まり、誰もが約束札を疑うようになったのだ。
俺は、窓口で説明を続けた。
「レギス・レジャーが番号を振った約束札なら、安心してください。台帳で管理されてますから」
「でも、番号がない約束札はどうすればいいんです?」
「番号を振りに来てください。俺たちが発行者を確認して、番号を振ります」
「それには、金がかかるんでしょ?」
「はい。手数料として、シルバ1枚です」
「1枚も……」
商人は、渋い顔をした。
だが——結局、約束札を持って窓口に並んだ。
信用を得るためには、手数料を払う価値があると判断したのだ。
午前四ベル、ミラが俺のところに来た。
「レオンさん、約束札の保管場所、もう限界です……」
「限界?」
「はい。担保として預かった約束札が、もう五十枚以上あって……引き出しに入りきらないんです」
「なるほど……」
俺は、引き出しを開けて確認した。
確かに、約束札がぎっしり詰まっている。
しかも、整理されていない。
このままでは、紛失や取り違えのリスクが高い。
「専用の保管場所を作りましょう」
「保管場所、ですか?」
「ええ。約束札専用の金庫を用意します。そして、出し入れを厳格に記録します」
「わかりました。でも、金庫ってどうやって……」
「実務長に相談してみます」
俺は、実務長の部屋に向かった。
「実務長、約束札専用の金庫が必要です」
「金庫?」
「はい。今は引き出しに入れてますが、もう限界です。ちゃんとした保管場所が必要です」
「なるほど……」
実務長は、少し考えた。
「金庫は高いぞ。どうする?」
「小さいもので構いません。約束札は紙ですから、大きな金庫は要りません」
「小さい金庫、か……」
実務長は、立ち上がった。
「ちょっと待ってろ」
そう言って、部屋の奥に行った。
しばらくして、小さな鉄の箱を持って戻ってきた。
「これでどうだ?」
「これは……」
「昔使ってた小金庫だ。今は使ってないから、お前にやる」
「ありがとうございます!」
俺は、小金庫を受け取った。
大きさは、縦が1.5ルンと、横が1ルン、高さが0.5ルンくらい。
約束札を入れるには十分だ。
鍵も付いている。
「この鍵は、誰が持ちますか?」
「お前とミラで管理しろ。金庫番のグレアムには渡すな」
「わかりました」
俺は、小金庫を事務室に持っていった。
「ミラさん、約束札専用の金庫ができました」
「わあ、ちゃんとした金庫ですね」
「ええ。この中に、担保として預かった約束札を全部入れます」
「はい」
俺とミラは、引き出しから約束札を取り出し、一枚ずつ確認しながら金庫に入れていった。
同時に、保管記録も作った。
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【約束札保管記録】
日時 | 番号 | 発行者 | 金額 | 操作 | 担当者 | 備考
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「金庫に入れたら、『保管開始』と記録します。取り出したら、『保管終了』と記録します」
「わかりました」
ミラは、記録を書き始めた。
こうして、約束札の保管場所が正式に決まった。




