採用試験と合わない帳面#12
二日目の終わり。
再び、帳面を締める。
ミラと一緒に、金庫の中身を数える。
そして——引き継ぎ簿と照合する。
だが——今回は、少しズレがあった。
シルバ: 記録298枚、実数300枚——2枚多い。
「……あれ?」
ミラが首を傾げた。
「2枚多いです……」
俺は、引き継ぎ簿を見直した。
グレンの記録を確認する。
——やっぱり、曖昧だ。
枚数が正確に書かれていない。
「たぶん、グレンさんが数え間違えたんだと思います」
「どうしましょう……」
「グレンさんに確認してみます」
俺は、グレンのところに行った。
「グレンさん、午後の受領額、もう一度確認してもらえますか?」
「……なんでだ?」
「帳面が2枚合わないんです」
「2枚くらい、誤差だろ」
「いえ、誤差じゃありません。どこかで数え間違えてます」
「……めんどくせえな」
グレンは、しぶしぶ自分の記録を見直した。
そして——ある行を指差した。
「……ああ、ここだ。シルバ20枚って書いたけど、本当は22枚だった」
「じゃあ、訂正してください」
「わかったよ」
グレンは、記録を訂正した。
俺は、再び帳面を確認した。
シルバ: 記録300枚、実数300枚——一致。
「合いました!」
ミラが嬉しそうに言った。
実務長が、また事務室に来た。
「今日はどうだ?」
「最初は2枚ズレてましたが、確認して修正したら合いました」
「そうか……よくやったな」
実務長は、グレンの方を見た。
「グレン、お前も引き継ぎ簿を使ってくれたんだな」
「……ああ」
「ありがとう。これからも頼む」
グレンは、何も言わなかったが——少しだけ、表情が和らいだ気がした。




