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採用試験と合わない帳面#8
六ベルの鐘が鳴った。
昼休みの時間だ。
だが、俺はすぐには休まなかった。
まず、金庫に銀貨を納める。
そして、納入時刻を引き継ぎ簿に記録する。
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金庫納入時刻: 六ベル直後
金庫納入額: シルバ計137枚、クラウン計2枚
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それから、午後の担当者——エリーゼに引き継ぐ。
「エリーゼさん、午後をお願いします」
「はい……って、これ何ですか?」
エリーゼは引き継ぎ簿を見て、目を丸くした。
「引き継ぎの記録です。午前中に処理した内容が全部書いてあります」
「こんなの、書く必要あります?」
「あります。これがあれば、二重処理や処理漏れを防げます」
「でも、面倒じゃないですか……」
「面倒ですけど、必要です」
俺はそう言って、エリーゼに引き継ぎ簿を渡した。
「午後も、この形式で記録してください」
「……わかりました」
エリーゼは渋々頷いた。
俺は昼食を取りに、外に出た。




