採用試験と合わない帳面#7
試練の初日。
俺は窓口の一番左、ダリウスの隣に座った。
机の上には、秤、厚み測定板、そして——俺が改良した引き継ぎ簿。
ミラが隣で帳面を開いている。
「レオンさん、準備はいいですか?」
「ああ、大丈夫だ」
俺は深呼吸をして、窓口を開けた。
すぐに、商人たちが列を作った。
最初の商人は、中年の男だった。
「両替を頼む。クラウン1枚を、シルバに」
「かしこまりました」
俺はクラウン金貨を受け取り、まず重さを確認した。
秤に乗せる。
針が揺れる。
——基準値内。
次に、音を聞く。
指で弾く。
チーン。
澄んだ音。本物だ。
「問題ありません。シルバ25枚でお返しします」
俺は金庫からシルバを取り出し、一枚ずつ数えて商人に渡した。
商人は満足そうに頷いて、去っていった。
俺はすぐに引き継ぎ簿に記録した。
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処理済み商人: 1. 商人A / クラウン1枚→シルバ25枚 / 金貨:本物、銀貨:目視確認済 / 備考なし
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次の商人が来た。
「両替を頼む。シルバ50枚を、カッパにだ」
「かしこまりました」
俺は銀貨を受け取り、一枚ずつ確認していった。
色、厚み、音——すべてをチェックする。
途中、一枚だけ色が薄いものがあった。
音を聞くと、少し鈍い。
「申し訳ありませんが、この一枚は受け取れません」
「なんでだ!」
「基準を満たしていません。音が鈍く、偽貨の可能性があります」
商人は顔を真っ赤にしたが——俺は譲らなかった。
「規則ですので」
「……ちっ、わかったよ」
商人は一枚を取り戻し、代わりに別の銀貨を出した。
今度は問題なかった。
「ありがとうございます。カッパ500枚となります」
俺は金庫から取り出したカッパを、一枚ずつ数えて商人に渡した。
そして、引き継ぎ簿に記録した。
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処理済み商人: 2. 商人B / シルバ50枚→カッパ500枚 / 銀貨:1枚弾く(音鈍い) / 備考: 代替貨受領
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こうして、午前中は順調に進んだ。




