異世界に来てみた
本日から始めました。よろしくお願いします。
いつも通りの駅。いつも通りの町並み。いつも通りの帰り道。
かわりばえのしない、いつも通りの日常。そんな1日だった。
でもひとつだけ。そう、たったひとつだけ、いつもと違うことをした。それが、新しい「いつも」の始まりで、今までの「いつも」が終わった瞬間だった。
1人暮らしをはじめて、何度目かの春。
バイトからの帰り道に、突然目にとまった路地。普段だったら気にもとめない、何の変鉄もない普通の路地。しかしその時はなぜか目が離せなかった。
何かに導かれるように俺はその路地に俺は入っていった。
すると路地を抜けた先には古い神社が1つ建っていた。
ここまで来てしまったし、そのまま帰るのも忍びなくなってしまいお参りをすることにした。
お参りをするため、目を瞑り再び開けるとそこにあったはずの神社がなくなって、真っ白な空間にいた。
「こんなとこに客が来るとは珍しい」
ふいに男性とも女性とも聞き取れるような声が聞こえてきた。
しかし、あたりを見回しても人影は見当たらない。
「すまんな。今姿を見せてやろう」
不思議な声がそう言うと目の前にいきなり某推理アニメの犯人の真逆の真っ白な人影が現れた。
「えっと、ここは一体?さっきまで神社にいたはずなんですが」
1言目から察するにここがどこなのか知っていそうで、俺は思わず聞いてしまった。
「ここは私の友人が管理していた神社です。よもやこの様なところで、ただの人に会うことがあろうとは」
「明日も仕事があって、出来れば帰りたいのですが・・・」
「なぜ、どうやってここに来たのかは分かりませんが、普通の人間が神界に来たら帰ることは叶いませんよ」
なんと言う爆弾発言だろうか。あろうことか俺は気づいたら神様の世界に来てしまっていたらしい。
お参りして目を開けたら、神界でした。ってどこのラノベだよ。
「って、え?帰れないんですか?」
「あくまで、元々いた世界に戻すことが出来ない。ただ別の世界にいくか、このまま消滅するか選ぶことはできるぞ」
こんなひどい、選ばせる気のない2択初めて聞いたぞ。
それにしても異世界か。事故で死んだり、勇者召喚みたいなテンプレ以外にもこんな行き方があったのか。
異世界転生ものの作品は好きだったし行けるものなら是非行きたい。
「分かりました。それでお願いします。1つ確認したいんですが、行く異世界は魔法とかがある世界で間違いないですか?」
「やけにあっさりしておるの。うむ。その認識で問題ない。個の世界に未練や思うことはないのか?」
「勿論、ない訳じゃないですけど、もといた場所に帰れない。その上、異世界にいくか消滅するかの2択だったら、ある程度の人は異世界選ぶと思いますけどね」
そう言うことを言いたかった訳じゃないのだろうが、まぁスルーでいいだろう。
「まぁよい。では、[世界を渡る者]橋本辰哉よ。そなたには好きなスキルを2つまで与えることができる。どんなスキルでも言うがよい」
スキルか。何がいいだろうか。定番の戦闘系スキルは無しだな。そんなもの貰ったところで、俺が戦って生き残る自信がない。
となると、生産系か。いや、いっそのこと商人になるのもありか?
「あの例えば、こっちの世界の物を買ったり取り寄せたりするスキルって出来たりしますか?後はアイテムボックスが欲しいですね」
「うむ。もちろん問題ないぞ。ではその2つでよいな?」
「それが出来るなら問題ないです。それでお願いします」
「流石に会話が出来ないのは不便だろうから、会話が出来るようにはしておいてやろう。」
すっかり忘れていた。これはありがたい誤算だ。
「では、橋本辰哉よ。元気で過ごせ。さらばだ」
そう言うと辺りが、眩しくなって目を瞑った。
そして再び目を開けると、知らない町並みの路地裏に立っていた。
ここまで読んでくださり有り難う御座います。
誤字脱字等あれば申し訳ありません。