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マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜  作者: 我島甲太郎
第三章 朱夏の南国と不死鳥の塔

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第70話 キャプテン・ブルーノ

 俺達は港から少し離れた静かな場所まで移動すると、石の触手で運んでいたミノタウロスのおっさんの拘束を解いて自由の身にした。


 余った石でハムマン長椅子を二つ作ると、俺達三人が先に座ってから向かいの長椅子に二人が座るように(うなが)す。


「二人ともまずは座って。腰を落ち着けてゆっくりと話そうじゃないか」

「えっと、ありがとうございます」

「何なんだよ、おめぇらはよぉ……」


 (いぶか)しんだ様子のダミ声をしたミノタウロスのおっさんが椅子に座るのを確認した俺は二人に更なる自己紹介をした。


「俺は賢者(ウォーロック)のハルト・ミズノ。隣のハーフリングが狂戦士(ベルセルク)のアンバーで、ワーキャットが忍者(ニンジャ)のミュールだ。あんたらの名前を聞いてもいいか?」


 俺が名前を尋ねると、ミノタウロスのおっさんは自分の二本角の生えたボサボサの黒髪をガシガシ()きながら返答した。


「俺はブルーノだぁ。プンレク島への定期船の船長をやっているぜぇ」


 その隣の黒髪を長く伸ばした爆乳のミノタウロス娘も膝の上で両手を組みながら同じく答える。


「私はカウリンっていいます。お母さんと一緒に『牧場(まきば)亭』っていう小さな宿を経営しています」


 カウリンから宿という言葉を聞いた俺は、にんまりとした笑みを浮かべた。

 彼女のお母さんのおっぱいがどうなっているか、とても気になりますねぇ……。

 隣のアンバーに腰をつねられるが、我慢して話を続ける。


「俺達は今日この街にきたばかりだからまだ泊まる場所が決まっていないんだ。よかったら今夜泊めて貰えないかな?」

「本当ですか!? やったぁ。お父さん、久しぶりのお客さんですよ!」

「む、むぅ……。それはいいがぁ、おめぇらは本当にシーサーペントを倒せるくらいに強いのかぁ?」


 俺はアンバーに印籠を突きつけるように(うなが)した。


「アンバーさん、見せておやりなさい……!」

「わしのこのステータスを見るがよい!」


 アンバーが突きつけたギルドカードに目を通した二人は驚きの声を上げた。


「20歳でBランクのレベル128だとぉ……!」

「アンバーさんってすっごいお強いんですね!」

「ふふん、わしのパワーならばシーサーペントなど恐るるに足らずじゃ!」


 白いほっぺを赤くして鼻高々のアンバーがささやかな胸を張った。


 弩伏(どふす)坑道でのパワーレベリングで俺達は一回り強くなったのだ。

 俺はレベル32まで上がり、ミュールはなんとレベル74まで行っている。

 ファルコはレベル72、サクレアはレベル55だったかな。


 そのおかげで更に器用さに磨きがかかったサクレアのライブコンサートが大盛り上がりしたのは言うまでもない。


「それで、ブルーノは一度返り()ちにあって腕を失っているのにどうしてまたシーサーペントを倒しに行こうだなんて考えたんだ?」

「プンレク島は離れ小島で農地が少ない上にダンジョンがねぇんだ。今はバードマン達がピストン輸送で何とかしているがこのままじゃいずれ干上がっちまう。だから早く流通を再開させないとまずいんだぁ。それにもうすぐハムマン祭りもあるしよぉ」

「そうだ、ハムマン祭り。いつやるんだ?」

「7日後だぁ。今回はハムマンコンテストも開催されるからよぉ、世界中からその日の為に参加者が集まってきているんだぁ。だから延期になったら皆が困るんだよぉ」

「ハムマンコンテストまであるのか……!」


 10年に一度しかないハムマンコンテストがある年に偶然近くの街に立ち寄ることになるとは、なんという巡り合わせだろうか。


「その分だと探索者ギルドの方で緊急クエストが発令されているのではないか?」

「それでカナンからAランク探索者パーティーがきたんだがなぁ、そいつらはとんだ外れくじだったぁ。シーサーペントを前に尻込みしてあっという間に全滅さぁ」


 そう言ってブルーノは左手で自分の右肩を抑えた。


「俺は海に浮かんだそいつらを回収する時に腕を一本持っていかれたってわけだぁ。まったく災難だぜぇ」

「ブルーノよ、わしらがシーサーペントを倒しに行くなら船は出せるのだな?」

「船そのものは無事だから大丈夫だぁ。利き腕がないのはちょいと不便だがなぁ」

「ハルト、こやつの腕を治してやれ」

「任せろ」


 俺はアンバーに返事をすると、両手を彼の右肩に向けて魔力を込めた。


「何を言っているんだぁ? 無くした腕なんて治せるわけが……」

「リジェネレーション!」

「ぬぅ!?」


 俺がリジェネレーションを使うと、ブルーノの右肩に巻かれていた包帯を突き破って筋骨隆々の右腕が見る見るうちに生えてきた。

 あっという間に五体満足へ元通りだ。


「えっ、えっ!?」

「なんじゃこりゃあ!?」

「にゃんだって!?」


 俺とアンバーは生えてきた腕を見て困惑するミノタウロス親子にドヤ顔をした。

 ……ところでどうしてミュールまでビックリしているのだろうか。


「おいミュール、何でお前まで驚いているんだよ」

「あちしはハルトがそんな凄いスキルを使えるだなんて聞いてないにゃ!」

「言ってなかったっけ?」

「言ってなかったかもしれんのう」

「そっか、ごめんミュール。俺は超天才魔導士(ウィザード)だから再生スキルが使えるんだよ。これは天使の領分だから勝手に治すと怒られるんで、あんまり言いふらしたりしないでくれよ」


 この手の闇治療は金さえ取らなければ別に怒られたりはしないんだけどな。

 それでタダで治してくれるなんて噂が流れたら困るから普段は隠しているのだ。


「にゃるほど、普段の姿は世を忍ぶ仮の姿というわけかにゃ。流石はあちしのパーティーメンバーにゃ」

「それで納得してくれるのならよしとするか……」


 どうでもいいことで話が()れた。


「二人も知り合いに腕のことを聞かれたら天使の治験で治して貰ったとかまあそんな感じでごまかしてくれ。今はまだ一部の上級天使にしか再生スキルは使えないから、ギルド本部の病院でも治療は受けられないんだ」

「あ、ああ。分かったぜぇ」

「秘密ってことでいいんですね?」

「そうそう、秘密ってことでよろしくね」

「はい!」


 俺の説明でブルーノ達も一応の納得はしたようだった。


「これで操船に不自由することもなかろう。ブルーノよ、明日は頼んだぞ」

「おうよぉ。俺は明日の準備をしてくるからよぉ、おめぇらはカウリンと一緒にギルドに行って緊急クエストの受注でもしてくるといいぜぇ」

「宿への案内が必要ですもんね。私と一緒に行きましょう!」


 俺達はカウリンを連れて再び探索者ギルドへ行くと、受付で緊急クエストの受注を行った。

 その際にゴブリンの職員さんからいくらか心配のお言葉を頂いたりもしたが、その辺りは割愛(かつあい)する。


 こうして俺達は、旅先で立ち寄った港街でシーサーペントの討伐を行うことになったのだった。

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