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祈りの日々

 魔女はトンプソンとメアリーの立てた計画についていいとも悪いとも言わなかった。ただ不気味な笑いを浮かべただけだ。

 どっちみち計画を中止することはできない。レネーは山上の宮殿へと進軍しており、エズラには戦意が伝わっていたのだ。トンプソンとレネーは背後からまわって宮殿を包囲した。


 だが、ウィゼカ一族の栄光とヘレナのプライドをかけて行った姫の救出作戦は悲劇的な結末に終わる。敗北したのだ。



 ある朝リリィが起きると外で騒音が聴こえた。廊下に出ると、宮廷貴族が廊下に人だかりをつくっている。


「何事なの?嵐かしら?」

 リリィは近くにいたギーとフラニーの夫妻にきいた。気のせいか、二人ともいつもより顔が蒼く見える。


 リリィはその時何も知らなかったのだ。自分たちの未来にどれほど恐ろしいことが待っているのか。


「なんてことなの」

 フラニーはそう言うとギーの袖の中に顔をうずめた。


 ギーは日暮れ時に斬首刑となった。彼はレネーの侵攻には一切関与していない。それでも弟を恨んでいないというのだ。


「レネーを恨むな。彼はウィゼカの男としてしなければならないことをしているだけなんだ」

 ギーがむせび泣くファニーを抱きしめて言う。

「弟を誇りに思っている」


 その三日後にはトンプソンが女王ヘレナとレネーの軍を残してイリヤに帰ってしまった。大混乱が生じた。ヘレナもレネーも退行を余儀なくされる。レネーは山脈のあちら側、のちにレイドゥーニアと呼ばれる地へ、ヘレナは元夫の領地に身をひそめた。アレックスとトンプソンは手を組み、ヘレナを捕らえてエズラに引き渡した。


 メアリー=ジェインの強い主張もあってヘレナとリリィはそれぞれ違う場所に幽閉されることになる。すなわちヘレナは孤島の〈灰色の島〉へ、リリィはタチアナ・ヤールの霊廟れいびょうに収監されたのだ。


 イリヤの皇女の長い祈りの日々が再びはじまった。

ブックマーク・評価・いいね・レビュー待ってます!


シリーズの続き、「夫に虐待されてた王妃、どん底から這いあがる」、投稿中です。5年後が舞台で、リリィやメアリーなど、おなじみのキャラクターも登場します。読みたい方は検索してみてください!


最後まで読んでくださりありがとうございました!

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