表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろラジ5参加作品

君との思い出が欲しい僕は、"秘宝の帽子"で姿を変える。

 初顔合わせは十歳の時だった。


 王子である僕の未来の(きさき)にと、紹介された女の子。

 イヴ・ドラン公爵令嬢。


 貴婦人や侍女達とは違う、同い年の女の子はとても可愛くて。

 どうしてよいかわからなくなった僕は、彼女に冷たく接してしまった。


 以来六年、関係を(こじ)らせ続け、彼女は僕に笑わなくなった。

 更に最近。


(想い人が出来たと聞く)


 侯爵家の息子ケイン。


(イヴが一層美人になったのは、恋のせいか?)


 彼女の幸せの為に、婚約を解消してあげないと。


 でも一度でいいから。

 僕に笑顔を向けて欲しい。


 それを思い出に、イヴを諦めよう。



 初代国王が王妃と結ばれたという王家の秘宝。


 被れば恋しい相手の姿に見えるという変身帽子を、僕は手に取った。


 そして偶然を装い、城下で花祭りを楽しんでいた彼女に声かけ、現在順調にデート中。


 帽子を被った僕は、ケインに見えてるんだろう。

 イヴはずっと、惜しみない笑顔を僕にくれている。


(みじ)めだ)


 ケインに向けた笑顔だとわかっていても、心弾んでしまう自分が。

 こうでもしないと、微笑んで貰えない自分が。



 花祭りで求めた花を、イヴの髪に挿していた時だった。


「暴走馬車だ!」


 大声に振り返ると、猛スピードの馬と馬車。

 咄嗟にイヴを庇ったが、僕らは盛大に転んだ。


「イヴ! 怪我はないか!」

「はい。殿下(・・)こそご無事ですか」

「平気だ」


(待て。彼女は今、僕を何と呼んだ?)


 慌てて見ると、帽子が(かたわ)らに落ちている。


 サッと血の気が引いた。


(変身が解けた! どう言い訳すれば)


「っ、これは……」

「この帽子は王家の秘宝ですね? すごく不思議」


「! 知ってたのか」

「我が家にも口伝があります。初代王妃様はドラン家のご出身でしたから」


(なん)てことだ。誤魔化しようがない)


 焦る僕に、イヴが続ける。


本心帽子(・・・・)。殿下のお心がわかり嬉しかったです」


(え?)


「僕がケインに見えてたりは?」

「なぜケイン様? 殿下はずっと殿下でした」


 彼女が言うには、帽子にはイヴへの好意の言葉が次々に(あらわ)れていたらしい。


 好きだ。嬉しい。美しい。


(うわぁ!)


 変身(ヘンシン)帽子と本心(ホンシン)帽子。

 確かに一字違いだが、両家で伝説が違ったのは事故か故意か。



「ずっと好きだった。素直に言えずごめん」

「私もです……。だからもし好きな方に見える帽子だとしても、やはり殿下に見えていたことでしょう」


 

 恋の噂は、イヴに横恋慕したケインが勝手に流した虚構(デマ)だったらしい。

 (ヤツ)は厳重にシメ、僕とイヴの仲は良好で。


 垂れ幕付き三角帽子を被った甲斐があった!



 お読みいただき有難うございました!(*´▽`*)


 hensinとhonsin スペルでも一文字!

 護衛とかは撒いてます。1000文字制限なのでカット。(;´∀`)


 2023.12.22.20:00ラスト部分改稿。

 帽子が三角帽になってしまった! 活動報告でいただいたコメントが衝撃過ぎて、どうしても頭から離れなくて! すみませんーっ(≧∇≦;)。マウスで描いた三角帽子絵。こんなかな?

 挿絵(By みてみん)

 名前の候補、ユール(冬至)とかあったのですが、悩んだ末に普通にケイン。そして殿下に至っては名前出ないという!(気の毒。ノエル(クリスマス)王子)

 勝手に身を引こうとする彼に、「いやもっと会話しようよ」って思ったのですが、10歳~16歳までのことなので、笑って許したってください。

 思い込みの激しい、照れやな思春期でした(王侯貴族だけど腹芸しない人たち)。


 今月22日は冬至、ゆず湯の日ですね。寒さが一層厳しい12月後半、皆様どうぞご自愛ください。

 挿絵(By みてみん)

 お話を楽しんでいただけましたら、下の☆を★に塗って送信くださると励みになります!! よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良かったらコチラもよろしくお願いします!
短編が多いです!

・▼・▼・▼・▼・▼・
【総合ポイント順】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【新しい作品順】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【異世界恋愛+α】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【なろラジ5参加】
・▲・▲・▲・▲・▲・
・「サーラと魔法のたまご ~一日一度だけの魔法」(ゆるふわ童話)
・「私の幼馴染は、5年後の未来から死に戻ったそうです」(定番イセコイ)
・「三日月姫は、満ちる時を待っていた」(かっこよファンタジー)
・「文化祭後に、菊は咲かない」(サスペンスちょい怖)
・「雪山に、閉じ込められたから」(ほっこりラブコメ現代)
すべて1000文字均一!
― 新着の感想 ―
ヘタレヒーロー企画からの再読です。 二人とも可愛らしい♪ ハッピーエンドにほっこりしました! そしてケインとの関係……のデマだったのか!(笑) ケインはデマを流したのは悪いけど、おかげでヒロインとヒ…
[良い点] オチwwwwww [一言] 可愛い2人の話でした。自分の本心が垂れ流しとかwww死ぬwwwww
[良い点] 素晴らしき言い伝えのズレ! ……ハッ! これはまさか、ご先祖さま達がワザと……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ