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婚約破棄されたら何故か難攻不落公爵様に溺愛されました

短編に初挑戦です。

全3話なのでサクッと読めると思います。

今日中に全話アップするので、未完が苦手な方も是非。


「リリアナ=グライン伯爵令嬢。君との婚約は今日限りで破棄させていただく!」


『、、、承知いたしました。ロナルド様のお心のままに』


「待て」


カツカツと音を立てて歩いてくるのは、公爵家のウィリアム様だ。


「リリアナ嬢。大丈夫か?」


『はい。ありがとうございます』


「ロン、君って奴は。こんな立派な婚約者との婚約を破棄するとは。愚かな、、、。でも、私にとってはそれも好都合」


「リリアナ=グライン様。どうか私の婚約者になっていただけないだろうか。私は、生涯貴方を、貴方だけを愛すると誓う」


リリアナは、少しの間固まったが、おずおずとウィリアム様の手をとった。



◆◇◆◇◆



「リリー、紹介するよ。僕の友人、ルビー=トンプソン嬢だ」


婚約者のロン。カスタム侯爵家の次男であるロナルド=カスタムにそういって女性を紹介された時から、ロンの気持ちが離れていることに薄々勘づいてはいた。


「ルビー=トンプソンと申します。以後お見知りおきを」


そういささか挑発的に話すのはルビー=トンプソン。伯爵家の次女だ。

名前に合わせているのか、真っ赤なドレスに真っ赤なルージュ、そして縦巻きロールの黒髪。

その見事なコントラストが、色白な肌そして、、、強調されたハリのある胸元を際立たせている。


なるほど、ロンが好きそうな《色っぽい》女性だ。



『初めましてルビー様、リリアナ=グラインです。こちらこそよろしくお願いします』


◆◇◆◇◆


私こと、グライン伯爵家の長女リリアナ=グラインが、ロンと出会ったのは偶然ではない。


彼と仲良くなる前から、どうにかしてお近づきになれないかと、その機会をずっと待っていた。



ロンは、社交界ではかなり人気のある男性だ。


それもそのはず。


色素の薄い癖のない小さな顔。

スラッとした足は長く、なんと8頭身なんだとか。

そして、4大公爵家の中で最も力があるといわれる公爵家の長男ウィリアム=ノーランド様と仲がいい、侯爵家の次男。

おまけに剣の腕もたつ。


ロンはそんな《優良物件》の男性だから。


ただ、どんな美人が誘ってもニコリともしない難攻不落なウィリアム様と違い、ロンは相手が頻繁に代わることでも有名だった。


だから、とにかく優良物件の男性を捕まえたい令嬢達は、気安いロンにまず近づく。


それもあって、ロンの周りはいつも麗しい女性ばかりが沢山いた。



ある日のパーティにて、リリアナは《偶然》、ロンが恋仲の麗しきご令嬢と中庭で喧嘩している場に居合わせた。


とっさに木の陰に隠れて様子を伺っていると「バシッ」という鈍い音が、、、。


そして、ドスドスと中庭から離れていくご令嬢と、その場にへたり込むロン。



瞬間、リリアナは、ロンが麗しき令嬢に振られたのだと悟った。



失恋したばかりのところにつけ込むのは良くないとは思うけど、こんなチャンス二度とないかもしれない。


意を決してロンに話しかけた。


『あの、、、ロナルド様。大丈夫ですか?///』


こうして、失恋に付け入る形で、リリアナはロンの恋人になった。



◆◇◆◇◆


それからというもの、ロンに気に入ってもらえるよう、リリアナは日々努力した。


何しろ、リリアナはロンの好みである色気たっぷりの女性とは《少々》かけ離れている。


だから、少しでもロンの好みに近づくように、ボディケアは日々怠らなかったし、美しいと有名なご令嬢に相談して、スタイルアップのためにこっそり汗を流したりもした。


さすがにルビー嬢のように、胸を強調した服を着ることはしなかったが、徐々に内から滲み出始める色気に、ロンも気付いたようで、熱のある瞳で見つめられることも増えた。



一方で、失恋で食欲が落ちたロンのために、クッキーを沢山作って励ました。



そうしたリリアナの優しさに癒されたロンは、徐々に笑顔が増え、元気を取り戻していった。



ある日、ロンから「リリー、愛する君を僕の友人達に紹介したいんだ。どうかな?」とお誘いがあった。


ロンは、恋多き男性だ。だが、友人に紹介する前に破局する事が多く、ロンの友人に紹介してもらえる令嬢は少なかった。それ故に、リリアナはとても嬉しかった。


『嬉しいです。是非お会いさせてください』



紹介されたのは、

公爵家長男のウィリアム様と騎士のソル様。


予想通りの人達だ。だって、ロンはいつもこの2人と一緒にいたから。


「ウィリアム=ノーランドだ」

「騎士のソルです。お話はロンから聞いています。お会いできて嬉しいです」


『初めまして、リリアナ=グラインです。こちらこそお会いできて嬉しゅうございます』


全女性に塩対応と噂のウィリアム様は、正直素っ気なかったけど、ソル様は優しく接してくれて安心した。


(良かった。印象は悪くないみたい)  


その日以降、彼らとは、お菓子をプレゼントしにロンに会いに行った際に会話するようになり、次第に打ちとけていった。


「ロン。絶対にリリアナ嬢を手放すんじゃないぞ。こんな可愛くて一途な女性、もう絶対現れないんだからな!」


「分かってるよ!ってか今の言葉、マリン嬢が知ったら悲しむだろうなぁ〜」


そういいながら、ロンがリリアナの肩を抱き寄せる。


ムスクのムワッとした甘い香りが、鼻をくすぐる。


「いや!そういう意味じゃ無くて!俺は勿論マリンを愛しているけど、リリアナ嬢は誰もが欲しがるような凄く魅力的な女性だろう?こんないい子を泣かせたら、ロン、お前とは絶交だからな!ウィルもそう思うよな?」


「あぁ。そうだな」


その言葉にリリアナが咄嗟にウィリアム様を見上げると、バツが悪そうに顔をそらされた。





そうした努力と、周囲からの援護射撃のおかげか、2〜3ヶ月で破局する事が多いロンにしては珍しく半年も交際が続き、遂には婚約を結ぶことになった。





ただ、婚約してからというもの、急にロンが冷たくなった。


リリアナがデートに誘っても断られるし、手紙も返信してくれなくなった。


極めつけは今日


「リリー、すまない、緊急事態だ。今日のパーティのエスコートは辞退させてほしい」


『まぁそれなら仕方ありませんね。承知いたしました』


パーティのエスコートを断られてしまった。


ただ、一度出席すると返事した手前、リリアナまで欠席する訳にはいかず、一人で出席し、壁の花になっていた。


ぼーってして、床の模様を凝視していると、足元に陰ができた。


顔を上げると、そこに居たのは、


『ウィリアム様?』


「ご機嫌ようリリアナ嬢。貴方のような方が壁の花とは、勿体ないことだ」


『ご機嫌麗しゅうウィリアム様。えぇ。ロンは何やら緊急事態が発生したとかで今日は来ないのです。ウィリアム様もお一人は珍しいですね。ソル様は?』


「あぁ、ソルは急な伝令で賊の討伐に向かった」


『そうなのですね?ではロンもその討伐に?』


「、、、」


返事のないウィリアム様。それだけで、ロンはその討伐には参加していないことがわかる。きっとロンは、別の誰かと一緒にあるのだ。例えばそう、あのルビー=トンプソン伯爵令嬢とか。


『心配ですね。お怪我なされないといいのですが』


「辛くはないか?」


『え?』


「婚約したばかりだというのに、最近ロンとはあまり会っていないのだろう?」


『ふふっ。まさかウィリアム様が心配してくださるとは思いませんでした』


「俺がそんなに冷たい人間に見えるか?」


『いいえ。ウィリアム様はとても暖かい方だと承知しています。ただ、ロンの恋人には一際厳しく接しなさると聞き及んでいましたので。やはり、噂なんて当てにならないものですね』


「君は、、、今までのアイツの恋人とは何もかも違う。君はアイツには勿体ない。今からでも遅くない。傷つく前に婚約を破棄したらどうだ?君の立場が悪くならないよう私が取り図るから」



『いいえ。私ではロンと釣り合わないことは、初めから分っていました。それでもお近づきになることを決めたのはこの私です。だから、ロンが私を側に置いてくれるうちは、そばにお控えしたいと思います』



「そうか、、、。君がそう言うなら、、。でも辛くなったらいつでも私に相談して欲しい。私はロンとは長い付き合いだが、それ以上に君の助けになりたいと思っている」



リリアナは、素直にその言葉が嬉しくて、頬を染め、目を潤ませた。



◆◇◆◇◆


その1週間後、オーガスト家主催のパーティにて、遂にロンが行動を起こした。



「リリアナ=グライン伯爵令嬢。君との婚約は今日限りで破棄させていただく!」


予想していた言葉。リリアナに動揺の色ははなく、静かに、でも芯の通った声で返事をする。


『、、、承知いたしました。ロナルド様のお心のままに』



シン、、、とした気まずい空間。その静寂を破ったのはまさかの人物だった。




「待て」




カツカツと音を立てて歩いてくるのは、あの、公爵家のウィリアム様だ。


「リリアナ嬢。大丈夫か?」


『え、はい。ありがとうございます』



「ロン、君って奴は。こんな立派な婚約者との婚約を破棄するとは。愚かな、、、。でも、私にとってはそれも好都合だ」



「リリアナ=グライン様。どうか私の婚約者になっていただけないだろうか。私は、生涯貴方を、貴方だけを愛すると誓う」



リリアナは、少しの間固まったが、おずおずとウィリアム様の手をとった。



◆◇◆◇◆


唖然とするロン、いやロナルド様をその場に残し、ウィリアム様と2人で会場を後にする。



「リリー、私はずっと、ロンに懸命に尽くす君の姿に好感を覚えていた。友の恋人だと分っていたが、愛しく感じるのをとめられなかった。私なら、もっとリリーを幸せに出来るのに、他の令嬢に目移りなんかしないのにと」


「リリー、愛している。どうか一生私の側にいて欲しい。私の妻として」


『ありがとうございます。こんな私で良ければ、是非お側に居させてください』



こうしてリリアナは真実の愛と、幸せな生活を手に入れた。


一方、ロナルドはというと、公爵家の長男ウィリアム=ノーランドが見初めた女性との婚約を破棄した(しかも自身の浮気が原因で)結果、周囲からの信用を失い、カスタム家共々没落の一途を辿った。


そしてそれは、そのロナルドを誘惑したルビー=トンプソンも同様だった。


しかも、ルビーは本当はロンではなくウィリアムを狙っており、ウィリアムと仲良くなるためにロナルドに近づいたらしく、二人はあれだけの大立ち回りをした割にはすぐに破局したそうだ。




そんな二人とは裏腹に、リリアナとウィリアムは、末永く幸せに暮らしましたとさ。




《おしまい?》

2023/5/7追記

投稿して2日間で沢山の方にご覧いただきました。

本当にありがとうございます!


見返してみると誤字脱字が多く、気になった方も多かったかと思います(TT)


取り急ぎ修正しましたが、なにかあれば誤字報告いただけると助かります!





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