72話 新たな仲間1
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「では、失礼しました」
「スグル、エリーナをよろしく頼むね」
にやにや顔のロイさんに別れを告げ、私はエリーナと共に部屋を後にした。
エリーナと師弟関係を結んだあと、ロイさんから今回のなりすまし事件のその後の対応について教えてもらった。発見した当事者だからついでに伝えておこうと思ったのだろう。
結論としては、冒険者登録時に低ランクから高性能ギルドカードを使用することにしたそうだ。
今、私が使っているギルドカードはただの金属プレートだが、冒険者ランクBになると高性能ギルドカードに変わるらしい。
この高性能ギルドカードは体内魔力を読み取って個人を識別して登録をするそうだ。今でいう『指紋』や『DNA』といった感じで、魔力も人によって微妙に違っているらしい。
便利な機能も付いていて、今まで達成した依頼数やこれまでに納品した魔物数など、細かいデータをギルドカードに保存でき、その場で閲覧できるそうだ。もちろんカードのデータを冒険者ギルドでその都度更新してもらわないといけないそうだが。
これらの機能が備わっている高性能ギルドカードは、今までのただのプレートよりも価格が高くて、1枚作るのに金貨1枚もの費用がかかるそうだ。
ただランクの低い冒険者に支払えるわけがないので、最初は冒険者ギルドが建て替えてくれるそうだ。その代わり、依頼や素材納品の報酬のうち5%は、この返済に当てられることになっている。そして返済が終わると、この手数料はなくなることになる。
その他にも細かい話がいろいろあったけど割愛して・・・そういうわけで私の冒険者カードも高性能ギルドカードへとバージョンアップされた。
新しいギルドカードを手に取っていろいろ調べてみたいけど、今は目の前の問題をどうするか考えなくちゃな。
それはもちろんエリーナのことだ。
これからどうしたものか。
ロイさんたちと別れ、私とエリーナは今、冒険者ギルドの前にいる。
「エリーナさん」
「師匠、呼び捨てで呼んでくれ。敬語もいらない」
私は師匠だからってことかな。でもそれだとエリーナは弟子だから敬語使わないのはおかしいんじゃないかな、とは思うが突っ込まないでおこう。
「じゃあエリーナと呼ばせてもらうし、敬語を使うのはやめるよ。成り行きで師弟関係を結んだけどこれからどうするの?」
「まずは今までの無礼を詫びる。すまなかった」
そう言うと、エリーナはその場で90度体を倒して頭を下げた。こんな人通りの多いところでそんなことされると目立ってしまうじゃないか。
「エリーナ、こんなところでやめてくれ」
「これはケジメだ」
頑ななエリーナを宥めつつ、ひとまず辺境の森の小屋に行くことにした。あそこなら人目を気にせずにすむはず。人通りを避けて裏路地に向かい、《テレポート》を使用した。
この前エリーナと戦ったところは、すでに整地しているのできれいに元通りだ。私とエリーナは小屋の庭にある丸太に腰掛けた。
「この前の模擬戦ではここを荒らしてしまって・・・」
「その話はもういいから次に話を進めようよ」
やらかした認識があるんだろうな。きれいに整地された光景をみてエリーナは謝ろうとしてきたが、話が進まないのでやりとりも程々に次に進めた。
「改めてこれからどうするつもりなの?」
「私は強くならなきゃいけない。私を鍛えてくれないか?」
エリーナは奥義スキルが使えるのにさらに強さを求めているのか。以前何か話そうとしていたけど、それが理由なのだろう。
「エリーナは奥義スキルが使えるみたいだし、十分強いよ」
「これじゃまだまだ足りないのだ」
「理由を聞いても?」
「・・・いなくなるなよ」
鋭い目つきで睨まれてしまった。途中退散した前科があるからだろう。巻き込まれてしまったのなら、情報は知っておかないといけないし、今度は逃げないのにな。
「私には仲のいい兄が・・・」
エリーナはそこまで話すとこちらを警戒しながらチラチラ見てきた。なんだろう、これはフリなのか。まだエリーナの性格をつかみきれない私は対応に困ってしまう。
「逃げないから!・・・それで?」
「私には仲のいい兄がいてな、もちろん私よりも強かった。剣術の奥義スキルも兄が教えてくれたのだ。当時は使いこなせないスキルだったのだが、兄の教えを受けてどうにか形にはなってきたところだった。そんな兄が戦地に行くことになったのだ」
身内に奥義スキル持ちがいたのか。習得条件も普通は手探り状態だが、すでにスキルを持っている人が教えてくれるなら修得も早まることだろう。
「私が使った奥義スキル以外にも、兄はいくつか奥義スキルを修得していた。だが戦地に行くことになって、そのすべてを教わることは出来なかった」
エリーナの兄は優秀だったんだな。私も奥義スキルをいくつかもってはいるが、スキルポイントを使った裏ワザみたいなものだ。現地人がそれを手探りで修得するのは、並々ならぬ努力があったのだろう。
「戦地に一緒にいった兄の仲間の話では、どうやら道中で強敵に遭遇してしまい、一時撤退を余儀なくされたそうだ。そしてその殿を兄がつとめたと聞いている。彼らは無事に拠点に撤退できたそうだが、兄は戻ってこなかったそうだ。再度部隊を編成して兄の救出に向かったそうだが、そこには焼け焦げた地面の跡があるだけで兄は見つからなかったそうだ・・・」
なかなかつらい話ではないか。仲間の話が本当ならそうだろうけど、嘘ついてる可能性もあるのかもな。殿をまかせたのではなく、わざと負傷させて置き去りにしたとか、証拠隠滅のためにすべて燃やしてしまったとか。真実は当事者しかわからないから、いくらでも言いようはあるだろうし。
「兄は間違いなく強かった。そんな兄が帰ってこなくなる事態になったのだ。私もいつかは徴兵されることになるだろう。そうなったときに最低でも兄以上に強くなっていないといけないのだ」
決意に満ちた顔でエリーナは話してくれた。気になるところはいくつかあるが、『徴兵』とはまた物騒なワードが出てきたな。




