69話 調査員5
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エリーナが使用した剣術奥義《王斬乱舞》に対して、私も奥義スキルを使用した。
「忍術奥義《夢幻闊歩》」
剣術奥義《王斬乱舞》は防御不可能な斬撃を連続で浴びせるスキルなのだが、この奥義スキルに対抗する手段はいくつかある。
わかりやすいのが、ただ避けること。防御不可能といっても、そもそも攻撃を受けなければダメージを負うこともない。相手よりも速いスピードでひたすら避けに徹するのだ。距離をとってもいいだろう。離脱するスキルを使うのも手だ。
他には防御不可能であってもさらに強いスキルで防御可能状態にもっていく方法だ。相手よりもステータスが高い場合、これが可能になるが、その見極めは難しい。
これら以外にもいろいろあるのだが、今回はお仕置きの意味も込めて相手にショックを与える方法を私は選んだ。
この忍術奥義《夢幻闊歩》は、歩くような動作をしている間、攻撃が当たっても幻のようにすり抜けるスキルだ。
当たれば最強と思われる剣術奥義《王斬乱舞》だが、逆に言うと当たらなければ意味がない。
エリーナが舞いを踊るように斬撃を私に与えてくるが、私は後ろに歩きながらそれらを避ける動作をした。
剣で受けると防御不可能なので、力負けしてしまうし、残念なことに剣は幻にはならない。幻になるのはあくまで私の体部分なのだ。
生身部分を掠めるように動き、エリーナの剣を避けつつ、幻になってすり抜けながら、後退りしていった。
エリーナは私になぜ攻撃が当たらないのかわからず、焦りで剣筋も力まかせで単純なものになり、私はより避けやすくなった。
何度剣をふるっても、当たらない。当たったとしてもすり抜ける。そうこうしているうちにエリーナの奥義スキルが終わり、疲労感からか彼女はそのまま膝から崩れ落ちた。
「はぁ、はぁ。な、なぜ当たらない・・・?」
両手を地面について、肩で息をしている様子から、もう体力の限界が来たのだろう。奥義スキルは強力なスキルだが、その分、疲労感も大きいのだ。もちろん私も疲れているが、やせ我慢して平静を装っているのは言うまでもない。
「殺傷能力のあるスキルは使用禁止といいましたが、奥義スキルは使っちゃダメでしょ。私じゃなければ死んでましたよ」
「はぁ、はぁ、完敗だ・・・」
そう言い残してエリーナは気を失った。
どうしたものかと思ったが、とりあえず気を失ったエリーナを抱きかかえ、小屋のベットへと運んだ。
私も奥義スキルを使って疲労が溜まっているので、小屋にある椅子に座って仮眠をとった。
しばらくするとエリーナは目を覚ました。
「・・・私は負けたのだな」
「そうですね。私の勝ちなので、これ以上付きまとわないでくださいね」
私はそう告げるとエリーナは何かを考えているような表情をして、話を始めた。
「私には仲のいい兄がいたん・・・」
「あっ、そういうのはいいんで街に帰りますよ。準備はいいですか?」
異世界転生小説に限らず、あるあるなのだが、身の上話をされると何かしらのイベントが始まってしまうのだ。
危ない危ない。さらなる厄介事に巻き込まれるところだった。私はエリーナの肩に触れ、辺境の街フロンダへ《テレポート》した。突然風景が変わったことでエリーナは驚いていたが、私は気にせずその場から逃げるように解散した。




