66話 調査員2
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「僕の名前はロイ=ハルバートン。護衛のエリーナがいきなり申し訳なかった!」
貴族であるにも関わらず、彼は頭を下げてきた。異世界といえば横柄な貴族が平民をいたぶる、みたいなイメージがあったけど、どうやら違うようだ。
「大丈夫ですよ。私もたまたま転んでしまって、結果として斬られずにすみましたから」
「エリーナには僕からきつく言っておくから、今回の件は僕に免じて許してくれないか?もちろん迷惑料としてこれを納めてくれ」
ロイさんはそういうとポケットから取り出した金貨を、私に数枚渡してきた。お金で解決するとは、やはり貴族って感じがするな。
エリーナの方を見てみると、不貞腐れたような顔をしているが、隙きあらば襲いかかってきそうな感じがするのは気のせいだよね。
「みなさん、何があったんですか!?」
冒険者ギルドから職員がやってきた。先程の悲鳴が聞こえたのだろう。今も周りには人だかりが出来ているし、馬車に騎士に貴族服に・・・トラブルが起こったであろうことは見ればわかる。
「僕はロイ=ハルバートン、王都からきた調査員です。護衛のエリーナ=ロンダルタントがちょっとトラブルを起こしてしまって・・・でも、幸いにも怪我人はいなかったから大丈夫です」
「そうでしたか。ではまずは冒険者ギルドへお入りください。ギルドマスターがお会いしますので」
「了解した。それじゃあ坊や、すまなかったね」
そう言うと、彼らはギルド職員に連れられて冒険者ギルドに向かった。
護衛騎士のエリーナ=ロンダルタントか。もしかして以前のトラブルも、この騎士が原因だったのだろうか。いきなり斬りつけてくるとは物騒だな。私じゃなければ大惨事になっていたことだろう。
そんなことを考えながら私はその場を後にした。
翌日冒険者ギルドにいくと受付の方に別室にいくように言われた。どうやら『冒険者成りすまし事件』に関係することらしい。ということは・・・
「あのときの坊やじゃないか。もしかして君がスグルかい?」
そこに待ち受けていたのは、ロイ=ハルバートン、王都からきた調査員だ。もちろん護衛の騎士であるエリーナ=ロンダルタントもいた。口元が鋭くニヤリしたのはきっと気のせいだろう。他の護衛3人も同席していた。
「そうですが、何かありましたか?」
「当事者に話を聞こうかとも思ったけど、気が変わった。エリーナ、君はどうして彼に斬りかかったんだい?」
「強者の匂いがしたから」
「そうなんだね。スグル、今からエリーナと模擬戦をしてくれないかな?」
「え?」
事件の当事者として呼ばれたのに、どうして模擬戦をするということになるのだろう。意味がわからない。
「すみません。模擬戦をする意味がわからないのですが・・・」
「それはそうだよね、ごめんごめん。ちょっと説明すると、まずエリーナは護衛なんたけど、見ての通り強さを求める子なんだよね。スグルにいきなり斬りかかったのもスグルの強さに惹かれたからじゃないかな。強い人との実戦経験は強くなるための秘訣だしね」
なんということだ。私は強い部類に入るらしい。いやいや、そんなはずはない。それに平穏な生活を脅かされたくはないので、強いと認定されるのは困る。今はまだ誤魔化しがきくだろうけど、どうやって断ろうかな。
「えー、私はまだ13歳ですよ。どうして強いと思うんですか?」
「エリーナ、どうして強いと思ったの?」
「・・・勘」
1番困る回答だった。女の勘、野生の勘、どんなものでも言ったもん勝ちで、外れたとしても何のリスクもない。当たったとしたら儲けもの。勘で言われたら否定することも出来なくなる。なんとも理不尽だ。
「・・・辞退させていただきます。そもそも私はまだ冒険者ランクDですし、強くないですよ。昨日もたまたまコケたから避けられたものの、コケていなかったから今ごろ真っ二つですよ」
お断りしてみたけど、エリーナの視線が急にきつくなった。壁に穴が開きそうなくらいに私を睨みつけている。
「『まだ』冒険者ランクDね・・・。じゃあちょっと身の上話をしよう。エリーナ=ロンダルタントは僕の幼なじみでね、貴族の家に生まれはしたが、家の中で過ごすよりも外で戦闘をするのが好きな子なんだ。そして僕は彼女の希望を極力叶えて上げたいんだ」
「ちなみにエリーナさんは冒険者ランクでいうとどのくらいですか?」
「んーたぶんランクAぐらいじゃないかな」
「私、死んじゃいますよ!」
斬りかかってきた時の体捌きからも実力は高そうだと思ってたけど、冒険者ランクA相当とは。私のランクはDなので、ランクだけで言えば弱いものいじめだ。
それでも仮に試合をして、目にとまるところがあった場合、私の知名度が上がってしまって平穏な暮らしには戻れないだろうな。
何かいい手はないだろうか・・・




