62話 帰還
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「お客さん方、もうすぐ辺境の街フロンダに着きますので、降りる準備をお願いしますね」
ドーラさんから手甲をもらった翌日、私とアルトさんは朝から乗合馬車に乗って山脈都市マトンから辺境の街フロンダへと移動していた。
時刻は夕方時になり、長かった移動もようやく終わりを迎えた。
「アルトさん、行きに比べるとだいぶ楽でしたね」
「行きはずっと走っていたからね。ただ座っている分、お尻が痛くなっちゃうね」
2人で受けた護衛依頼の行きの持久走を思い出しては、今の状況に喜びを感じつつも、今の不満といえばずっと座っていることによるお尻の痛みだろう。
何はともあれ、私達は無事にフロンダに帰ってきたのだ。下手したら今ごろは盗賊の成りすましで殺されていたかもしれないのだから、それを考えると五体満足な今の状況はありがたいことだ。
「皆さん、お疲れ様でした。辺境の街フロンダに到着しました。お忘れ物がないようにお降りください」
街の門の前でみんな降りた。これから門兵のチェックを受けてから、街中に入ることになる。久しぶりのフロンダだ。門兵のドナートさんはいるだろうか。
順番にチェックを受けていき、いよいよ私とアルトさんの番になった。
「おぉ、スグルとアルトじゃないか。こっち帰ってきたんだな。事件に巻き込まれたと聞いて心配したぞ。怪我はねぇか?」
「お久しぶりです、ドナートさん。スグルくんが助けてくれたから、怪我はないですよ」
「アルトさんと2人でなんとか帰ってこれました。事件に巻き込まれたときはどうなることかと思いましたよ」
久しぶりにドナートさんと話が出来た。数分ほど立ち話をしていたが、後ろにはまだチェック待ちの人の列があった。案の定「早く行けよ!」と注意されてしまい、私達はいったん街なかに入ることにした。
「お前ら、あとで飲みに行くぞ!詳しく話を聞かせてくれよな」
「「わかりました〜」」
ドナートさんにお礼を言って、まずは冒険者ギルドに向かった。
受付に向かうと夕方時ということもあり、冒険者ギルドの中は混雑していた。ミレイさんのところには長蛇の列が出来ていたので、私たちは少し空いているところの列に並んだ。
冒険者なりすまし事件で予定日数を大幅にオーバーしてしまったが、依頼完了の手続きをしなくちゃいけないのだ。
本来であれば、フロンダからマトンへ、そしてマトンからフロンダまで護衛対象を無事に送り届けなければいけない。最後まで守れなかった場合、依頼失敗となるが今回は事情が違う。
依頼主が犯罪に関わっていたのだ。
その場合は、冒険者ギルドの判断により依頼の無効処理がなされるそうだ。これによって、依頼結果が例えば失敗したとしても、本人の経歴には「無効」と記録され、依頼達成率の計算からは除外される。
報酬に関しては、依頼を受理したときに冒険者ギルドが依頼主から預かっているものがある。
これは依頼主には返却されず、依頼でかかった経費を補填する目的とお見舞い料として、成功した時の半額の報酬が冒険者に支払われるのだ。
残り半額は冒険者ギルドが回収し、後処理の経費にあてるそうだ。犯罪の場合は被害状況の調査などで追加費用がかかるためだ。
対応してくれた受付の方からこのような説明を受けた。そして別室へと案内され、そこで職員の方に山脈都市マトンの時と同じような事情聴取をされた。
冒険者ギルドでの用事が済んだので、そろそろ出ようかと思ったが、受付のミレイさんがこちらをちらちら見ていた。ミレイさんとお話したかったが、前に並ぶ行列はまだまだ終わりそうになかったので、会釈だけして私達は外へ出た。
「ドナートさんと飲みに行くって話でしたけど、お店ってどこなんでしょうか?」
「それならドナートさんの行きつけの食事屋があるからたぶんそこじゃないかな。宿屋取ったら行ってみようか」
アルトさんと私はそれぞれ宿屋を押さえて、また集合することにした。私の宿屋はもちろん『宿屋 ジャポン』だ。以前は客のいない寂れた感じの宿屋だったが、今となってはこの街でも人気が出てきた宿屋だ。
「サラさん、お久しぶりです。部屋は空いていますか?」
「スグルさん、帰ってきたんですね。部屋はありますよ。何泊でも泊まってください」
「ありがとうございます。これから食事に出掛けてきますね」
私の場合、宿屋改革の功労者として優先的に泊まれるように融通されている。ありがたい話だ。
宿屋を確保し、私はアルトさんと合流してドナートさんの行きつけの食事屋さんへ向かった。




