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閑話 ドーラの日常2

閲覧いただきありがとうございます。

仕事の合間に作成しています。

週に2回は更新できるように頑張りますので、

応援よろしくお願いします(´-﹏-`;)

それから毎日、スグルはお店に顔を出した。他愛のない会話をしては、防具について依頼するが、ドーラはそれを断り続けた。


スグルが毎日顔を出すものだから、ある日、お店に来た馴染みの冒険者にドーラは尋ねてみた。



「スグルという子が毎日来ているんじゃが、彼は何者だ?」


「なんかフロンダの街から来た冒険者らしいですよ。なんでも『冒険者なりすまし事件』を解決に導いた功労者って話らしいです」


「なんじゃその『冒険者なりすまし事件』は?」



ドーラはスグルが関わった『冒険者なりすまし事件』についてのあらましを聞いた。冒険者に成りすました犯罪者に商品を売っていたかもしれないことを知り、ドーラは胸くそ悪い気持ちになった。



「スグルはその犯罪を止めてくれたというわけじゃな」



スグルに対して日頃から冷たくあしらっていたが、なんだか悪いことをしてしまったとドーラは少し罪悪感をおぼえた。かと言って今更態度を変えるのも、ドーラの性格上、無理な話ではあるのだが。



「ドーラさん、彼は若いですけどもう冒険者ランクDらしいですよ。悪い感じの子じゃなさそうですし、なんか作ってあげたらどうですか?」


「あの見た目で冒険者ランクDなのか。まだまだ無茶しそうな年頃だし・・・そうじゃな。この街を出ていくときの選別でも作ってやるかの」



スグルに対するお詫びというわけではないが、ドーラは何かちょっとした防具を作ってあげることにしたのだ。


そうと決まれば、まずは素材選びからだ。スグルは冒険者ランクDなので、魔物ランクでいえばランクGを相手取ることが多いはずだ。


ただ、あの幼さですでに冒険者ランクDということは、そのうちすぐにランクCに上がることだろう。つまり魔物ランクDに対処できる素材が最適だろう。


また、これから身長や体格も変わるだろうから微調整できる防具がいいだろう。作る大きさで値段も変わってくるから、どうしたものか・・・


そんなことを考えつつ、ドーラは店番をしながらぼーっとして過ごしていた。





「よし、儂は決めたぞ」


「ドーラさん、突然どうしたんですか?」



馴染みの客が店の中でたむろっている姿をぼーっと眺めていたドーラだったが、突然思い立ったかのように客に聞こえるように話しだした。



「あの坊主は今日もう来たし、お前らは早く帰れ。今日はもう店じまいじゃ」


「急にどうしたんですか。あ、もしかして、この前の子に防具でも作ってあげることにしたんですか?」



にやにやしながら話しかけてくる馴染みの客に対して、ドーラは照れながらも、それを隠しつつ早く帰れと手を降った。



「うるさいわい。早く帰るのじゃ!」



店の中から客がいなくなったことを確認して、ドーラは店の戸締まりをした。それから奥の鍛冶場へと移動した。



「さてと、やるかの」



その日は珍しく夜遅くまで鍛冶場の明かりがついていたそうだ。






「ドーラさん、こんにちは」


「懲りずによく来るわい」



今日もいつものようにスグルはやってきた。ただ、いつもと雰囲気が違うことにドーラは気付いた。



「冒険者ギルドの仕事が落ち着いたので、いったん辺境の街フロンダに帰ることにしました。今までお世話になりました」


「そうか、行っちまうのか」


ついに別れの時が来てしまった。もともとこの街の子じゃないとは分かっていたが、毎日顔を合わせていれば流石に情がわくというものだ。


名残惜しいがこればっかりは仕方がない。そう思い、ドーラは前もって準備してあった防具をスグルに渡した。



「坊主、これは餞別じゃ」


「ドーラさん、これって・・・」



今回用意した防具は手甲だ。素材としてははがねを使用している。なぜこれにしたかというと、若手の冒険者にありがちだが、防具を装備するときに手甲を装備しない場合が多いのだ。


もちろん買うお金がないというのもあるが、剣などの武器を素早く振るために、出来る限り身軽な装備にしたほうがいいと低ランクの冒険者は考えるのだ。


そしてかわいそうなことに、そういう冒険者に限って腕を怪我して武器が握れなくなることが多いのだ。


また、防具を作るときには基本的には採寸が必要だ。可動域やフィット感を無視した防具を装備すると、動きづらくなり戦いに支障が出てしまう。


今回採寸できる機会がなかったため、微調整がしやすい手甲をドーラは作ることにしたのだ。



「毎日通ってくれてたからな。全身欲しけりゃ素材持ってきな」


「ありがとうございます。この手甲、大切にしますね」


「防具は消耗品じゃから、しっかりと使い潰すんじゃよ」


「もちろんです。傷をつけなくてすむぐらい強くなります。本当にありがとうございました」


そういうとスグルは深々と挨拶をした。見た目は少年だが、お礼を言えるちゃんとした子だとドーラは感心した。



「それじゃまた会う日までお元気で」


「おう、気をつけて帰るんじゃよ」



そう言うとスグルはお店のドアに手をかけた。こちらを振り返らずに店を出ようとしていたので、ドーラは慌てて声をかけた。



「・・・おい、その手甲1セットで大銀貨1枚じゃ。忘れずに払っていけよな」


「あ、はい」



スグルはいい子のようだが、防具を無料で渡すといったズブズブな関係性になるわけにはいかない。客と店主としてきちんと線引はしておかないとな、とドーラはスグルに諭すように話しかけた。

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