61話 装備品6
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ドーラさんと戯れる日々が過ぎていく中で、ようやく冒険者ギルドのギルドマスターであるダンテスさんから呼び出しがかかった。
私はアルトさんと一緒に冒険者ギルドに向かった。
受付の方に事情を話すと、ギルドマスターの部屋に案内された。
「お前たち、待たせてしまってすまんかったの。ようやく全容がわかったんで、話だけでもしておこうと思って呼んだのじゃ」
「「よろしくお願いします」」
ギルドマスターのダンテスさんが直々に、今回の事件で新たにわかったことを話してくれた。
『暴風』のリーダーであるランドと他3名のパーティーメンバーは、皆、盗賊の仲間だった。ランドが冒険者ランクCになり、彼らのパーティが最初に護衛依頼を受け始めたのは今から半年前だそうだ。
最初は普通に依頼をこなしていたそうだが、しばらくしてから、なりすましの犯罪に手を染め始めたそうだ。最初の頃はもしかすると協力者となる商人を選んでいたのかもしれない。
『暴風』のパーティーといっしょに護衛依頼を受けて、その後に街から離れていった冒険者は20人ぐらいいた。その中でなりすましが行われた数は全部で12人だった。
というのも、その冒険者の知り合いを探して話を聞いてみたところ、12人の冒険者が護衛依頼を受けたあとから帰ってきていないことがわかったのだ。彼らがなりすまし事件で殺されたかもしれないと知って、泣き崩れた家族もいたそうだ。
なりすましをした彼らの足取りは今なお捜索中で、現時点で捕まえられたのは約半数しかいないとのこと。
「・・・とまぁこんな感じじゃ。いろいろと協力してくれて助かったわい」
この話を聞いてアルトさんも思うところがあったのだろう。苦い顔をしながら返事をした。
「こんなに被害が出てたなんて驚きでした。護衛依頼で仲間だと思ってた冒険者に殺されるなんて酷すぎです」
私もそう思う。ソロの場合、他の冒険者パーティーと組むことがあるけど、やっぱり信頼できるパーティーで依頼を受けるのは大事なんだなと思った。
「それにしても、よくこの短期間で調べられましたね。まだ捕まっていない人たちってどうなるんですか?」
「ギルドの掲示板に犯罪者の指名手配の依頼があるからの。それで他の冒険者にも手伝ってもらうつもりじゃ」
胸くそ悪い犯罪だったな。皆、早く捕まるといいな。あとで私も掲示板をチェックしておこう。
「これでもう私達はこのマトンから移動しても大丈夫ですか?」
「そうじゃな。後は好きにしてもらってかまわん」
「じゃあスグルくん、一度フロンダに帰ろっか」
「そうですね、いろいろあったから、なんか久しぶりな感じですね」
ダンテスさんに挨拶をして、私達はギルドマスターの部屋を後にした。
アルトさんと一緒に掲示板に行き、犯罪者の依頼票を確認した。ただ帰りは依頼を受けずに乗合馬車で辺境の街フロンダに帰ることにした。今日はそれぞれ別行動をして明日の朝、集合することになった。
アルトさんはこれからお土産購入など旅の準備をするそうだ。私もそうする予定だが、まずはドーラさんのお店に挨拶に行かなくちゃな。
アルトさんと別れて私は中心部から離れた場所にあるドーラさんのお店に向かった。
「ドーラさん、こんにちは」
「懲りずによく来るわい」
ドーラさんの私に対する相変わらずな対応をスルーしつつ、私は今後のことについて話し始めた。
「冒険者ギルドの仕事が落ち着いたので、いったん辺境の街フロンダに帰ることにしました。今までお世話になりました」
「そうか、行っちまうのか」
ドーラさんは、旅立つ孫を見るような寂しい顔をしていた。私はこのお店を見つけてからは毎日顔を出していた。
もともとの馴染みの冒険者がたまに来ることはあるが、基本的にあまりお客はおらず、店内はいつも閑散としていた。だからこそ人見知りの私でも通いやすかったというのもあるが。
「坊主、これは餞別じゃ」
そう言うと、ドーラさんは私に手甲を渡してきた。肘上から手首あたりまでを覆える長さだ。
「ドーラさん、これって・・・」
「毎日通ってくれてたからな。全身欲しけりゃ素材持ってきな」
別れ際のサプライズプレゼント。全然作ってくれる気配がなかったけど、実はこっそりと私のために防具を作ってくれていたんだと知り、嬉しさのあまりなんだか泣けてくるな。
『名前:手甲
素材:鋼
作成者:ドーラ
状態:最高品質』
今の冒険者ランクにはもったいないぐらいだ。ドーラさんは先を見越して作ってくれたのかもしれない。
「ありがとうございます。この手甲、大切にしますね」
「防具は消耗品じゃから、しっかりと使い潰すんじゃよ」
「もちろんです。傷をつけなくてすむぐらい強くなります。本当にありがとうございました」
私はドーラさんに深々と挨拶をした。終わり良ければすべてよしではないが、なんだかドーラさんと分かりあえた気がする。今度来るときは素材持ち込みで全身防具を作ってもらう。
「それじゃまた会う日までお元気で」
「おう、気をつけて帰るんじゃよ」
そう言って私はお店のドアに手をかけた。すると後ろからドーラさんが声をかけてくれた。ドーラさんの顔を見ると泣きそうになるから、このまま出て行くことにしよう。
「・・・おい、その手甲1セットで大銀貨1枚じゃ。忘れずに払っていけよな」
「あ、はい」
忘れていたけれど、私とドーラさんは客と店主の関係だった。お会計をせずにお店を出たら犯罪だ。掲示板に載らないように、しっかりとお支払いを済ませ、私はドーラさんのお店を後にした。




