59話 装備品4
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「はじめまして、スグルといいます。店員さんのお名前はなんですか?」
「儂か?ドーラじゃ。」
やっぱりこの人がお店の商品を作った人だった。偏屈な感じがするけど、腕は確かなようだし、ちょっとチャレンジしてみようかな。
「ここの商品、品質がすごくいいですよね。私は冒険者をしていまして、新しい防具を探しているのですが、何かありませんか?」
「ここに置いてる分しかないな。欲しけりゃ鍛冶屋通りに行きな」
さてどうしたものか。異世界転生小説を愛読している私なりのアプローチをしてみよう。こういった感じの場合、いくつかのタイプに分かれていた。
素材がなくて作れない。
過去のトラウマで作れない。
気に入った人にしか作らない。
どのタイプにしても、まずは会話をして糸口を見つけないと。話しかけたら答えてくれる辺り、根は優しいはずだ。
「ここの商品が少ないのは、何か理由があるんですか?」
「儂は知らん。買う気がないなら出ていけ」
「防具といえば鉱石でしょうけど、動きやすさでは皮のほうがいいですかね。魔物の皮で防具を作ってもらえますか?」
「んなもん知らん。ほら、帰った帰った」
「例えば、ドラゴンの素材があったとして加工できる人はどれくらいいるのでしょうか」
「・・・知らん」
おっ、ちょっと反応があったぞ。ただ急ぎ過ぎても良くないだろうし、今回はこのくらいにしておこうかな。まだ初対面だし、時間をかけて通えばどうにかなりそうな気がする。
よし、また出直すとしよう。
「いろいろお話ありがとうございました。そろそろ帰りますね」
「おぅ、帰った帰った」
ドーラさんはそう言うと、早く帰れといった感じでしっしっと手を降った。鍛冶師ってことは、雷撃剣についても何か知っているかもしれない。
「あ、ちょっとお尋ねですけど、ロドリゴ・ドンティって知ってますか?」
「そいつは昔、勇者の武器を作った鍛冶師の名前じゃねぇか」
「そうなんですね、どのくらい前の人なんですか?」
「儂がガキの頃にはすでに有名だったから、かなり前じゃろうな」
ドーラさんの見た目から推測するに、雷撃剣は50年以上も前のものかもしれない。時空魔法 《タイムレグレッション》をあと何回使えばいいのか・・・。手がかりが手に入っただけでも良しとしよう。
ドーラさんに挨拶して、私はお店を後にした。
冒険者ギルドでちょっと話を聞いてみようかな。
中心部にある冒険者ギルドに向かった。今はまだおやつ時の時間帯なので、幸いにも中は混雑していなかった。夕方時になれば混雑してくるだろうから、今のうちに話を聞いてみよう。なんかいろいろ知っていそうなおばちゃんの受付に向かった。
「すみません、ちょっとお尋ねなんですが・・・」
「なんだい坊や。迷子かい?」
「いいえ、これでも冒険者ランクDですよ。それよりも、ドーラさんって知ってますか?」
そういうと、私はギルドカードを見せた。受付のおばちゃんは、「あらまぁ」と少し驚いた表情を見せて、気を取り直して教えてくれた。
「ドーラというと区画の隙間でお店をしているドワーフのことかしら?あの人は昔から鍛冶屋をしているけど、区画整理のときに場所を移動しなかったから、同業者の人たちからハブられちゃってるのよねぇ」
おばちゃんがいろいろと教えてくれた。
山脈都市マトンは、今は6区画にわかれているが、以前は中心部から外に広がるように街が拡大していったので、街の区分けは二重丸のような形だったそうだ。
そして、中心部は領主が治め、外縁部には区長を置いて街の運営を行っていた。
しかし外縁部が何か被害を受けた場合、例えば魔物の襲撃や火事などの災害が起こって外縁部の区長だけでは手に負えない被害が起こった場合、中心部にいる領主が指示出しして、外縁部を助けることになる。
ただ、中心部よりも外縁部のほうが土地面積が広いので、指示出しに時間がかかり、被害が拡大する恐れがあった。というよりも、実際にそういった事件が起きたそうだ。
この問題点を解決するために、初代領主は中心部の周りをおおよそ五角形の形で5区画に分けることにしたのだ。
そうすることで、何か街に被害が出た場合に、隣接する区長が助けるという構図を作り出したのだ。決断できる人が多ければ、それだけ物事が迅速に進むということだ。
もちろんメリットばかりではなく、デメリットもあるのだろうが、そこの話は割愛されてしまった。
そんな区画整理が行われた時期に、ひと騒動あったのが、ドーラさんのお店ということだ。
ここまでの話を聞いて、一方の意見は理解できた。いわゆる区画整理肯定派の意見だ。話した感じでは冒険者ギルドのおばちゃんは肯定派のようだ。
次は区画整理否定派の意見も聞いてみなくちゃな。ドーラさん以外に誰かいるかな。




