50話 事情聴取2
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今、私とアルトさんは山脈都市マトンの冒険者ギルドにいる。
商人たちの護衛依頼で辺境の街フロンダから、ランド率いる『暴風』のメンバーと行動を共にしていた。移動途中で盗賊に襲われてしまったが、持ち前の身体能力とスキルを駆使して難を逃れた。
・・・と思ったら実は私とアルトさん以外は盗賊側の人間だったのだ。商人に関しては脅されていた経緯があるものの、見て見ぬ振りは同罪で裁かれても仕方がないだろう。
私たちはギルドマスターのダンテスに、今回の事情を説明した。すでにある程度内容が伝わっていたためか、驚くことはなかったが終始渋い顔をしていた。
「つまり結構な人数の盗賊が、このマトン経由で冒険者になりすまして行動してるってことじゃな」
「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。私たちは『暴風』のパーティからしか話を聞けていませんので・・・」
盗賊たちは基本的には犯罪者の扱いになるため、街に入ることは出来ない。入れたとしても逮捕されることになる。しかし、冒険者になりすませば話は変わる。正規のルートで街に入れるし、買い物も普通に出来る。盗賊の仕事にまた戻ることすら出来る。もちろん犯行時に目撃者がいればまた指名手配の犯罪者に戻ってしまうのだが。
そういえば冒険者ギルドには盗賊討伐の依頼が出されることがある。今回のことが事実であれば、冒険者になりすました盗賊が情報を流して仲間たちを逃すことも可能になるのだろう。
「ひとまず調べれば全容もある程度わかるはずじゃ。お前たちには悪いが、しばらくこのマトンにおってくれ。向こうのギルドにはわしから連絡をしておく」
私とアルトさんは互いに目を合わせ、仕方ないと相槌して返事をした。
「わかりました。しばらくマトンで生活しますね」
「うむ。もちろん何もするなというわけじゃないからの。冒険者として日帰りの依頼ならじゃんじゃん受けてくれ。それと泊まる宿屋じゃが、ギルドの受付に伝えておいてくれ」
豪快な笑顔でそう告げると、もう用事は済んだのか私たちはギルドマスターの部屋から退出させられた。
ダンテスさんと話した印象では、どうも彼は脳筋な気がする。辺境の街フロンダのギルドマスター、ミカエラさんとは真逆な感じだ。変なことに巻き込まれないといいけど。
「アルトさん、これからどうしますか?」
「そうだね、ただ待つのもヒマだし、なにか依頼でも受けようかな。スグルくん、いっしょにどう?」
お互いこのマトンに滞在するように言われているので、別々に依頼を受けるよりかはいっしょに受けたほうがいい気がする。
「こちらこそよろしくお願いします」
アルトさんといっしょに掲示板へと向かった。辺境の街フロンダと同様に様々な依頼票が貼られていた。中でも魔物討伐依頼が多いようだ。気になるものと言えば、例えばこれだ。
『対象:冒険者ランクB以上
納品依頼:火竜の毛皮、火竜の爪』
この付近には火竜がいるのだろうか。辺境の森で竜系統と戦ったことはあるが、あれは苦労したな。
ところで依頼票に『納品依頼』と書かれているが、結局のところ魔物を倒さなきゃいけないため、討伐依頼に分類される。魔物の素材全部が必要じゃない場合はこのような書き方になるそうだ。
また、冒険者は頭を使うのが苦手な人も多いため、魔物をそのまま納品したとしても、ギルドのほうで上手いこと依頼ごとに分けてくれる。もちろん依頼を受けてからの納品のほうが儲けは大きい。
「スグルくん、俺たちはDランクだからこっち側の依頼票じゃないと受けれないよ」
高ランクの掲示板を眺めていたらアルトさんに注意されてしまった。私もアルトさんも共に冒険者ランクDなので、火竜の依頼はもちろん受けれない。偶然倒してしまった場合はこの限りではないけどね。
「そうでした。今行きます」
さて、どんな依頼を受けようかな。




