27話 疾風の掃除屋
明けましておめでとうございます。
閲覧いただきありがとうございます。
三賀日はのんびり過ごしたいと思います。
今年もよろしくお願いします。
フロンダの街で無事に宿屋を確保した私は、ランクEの依頼をこなすのに勤しんでいる。早く冒険者ランクDになりたいな。
冒険者ランクEの通常依頼は、ランクFと似たりよったりの内容だった。まだまだ半人前という認識なのだろう。掲示板の依頼票を見ながらそんなことを考えていた。
「今日はこれにしようかな」
依頼票を持って受付へと向かった。私が好き好んで受ける依頼がある。それは掃除系だ。日本にいた頃はそこまで掃除が好きではなかった。なぜかというと面倒だからだ。掃除機で吸って、外は箒で掃いてゴミを集め、集めたゴミは分別してゴミ収集日まで保管しておく。便利な世の中になったとはいえ、時間と手間がかかるのだ。
しかし、こちらの世界では違う。便利なスキルによるゴリ押しが可能なのだ。例えば落ち葉などの庭掃除系の場合、
《収集》《圧縮》《プチファイア》
この3連コンボにより、落ち葉の片付けが一瞬で終わるのだ。そのため、一部の人たちからはこう呼ばれることとなった。
『疾風の掃除屋』
異世界転生小説ではお馴染みの二つ名だ。裏の意味合いならかっこいいかもしれないが、そのまま表の意味での二つ名だった。依頼票を受け取った職員さんからもこう言われることが多くなった。
「こちらはランクEの水路掃除の依頼ですね。疾風の掃除屋さんにはいつも助かっています。掃除って地味にしんどいですからね。今日もよろしくお願いします」
受付の職員さんに笑顔で言われると照れくさくなり、何も言い返せなくなる。うん、別の二つ名がつくように頑張ろう。
依頼を受けた街の西側の水路へと移動した。
水路掃除は何かと面倒くさい。通常は、水路に溜まった泥をスコップで集め、一旦町の外まで移動させなければならない。その後、泥の中からゴミを分別し、ゴミはゴミ捨て場へと捨て、泥は乾燥させて土として森へ捨てる。これがこの世界での水路掃除の基本だ。
何がしんどいかというと、水を含んだ泥というのはかなり重いのだ。冒険者ランクEの依頼で不人気な部類に入るのも頷ける。しかし、私の場合は違う。便利スキルを使うとあら不思議。水路掃除が割と簡単に終わるのだ。
生活魔法《圧力ウォーター》
《ウォーター》の上位スキルで、込めたMPの割合により圧をかけた水を発射する。消防車の消火ホース並の水圧を出すことも可能なのだ。これで、まずは水路の泥を端まで寄せる。そのときに水路の側溝をキレイに磨くことを忘れてはいけない。
通常の冒険者の場合、生活魔法よりも水魔法を獲得する。水魔法でも高圧の水を出すことができるが、水路まで破壊してしまうため水路掃除には使えない。また、生活魔法 《ウォーター》を獲得していると、その上位スキルである《圧力ウォーター》は冒険する上で使う必要はほぼない。戦いに使えないスキルは不要なのだ。
生活魔法《分別》
これは1立方メートルあたりにあるものを物体毎に分別してくれる。スキルレベルにより、分別できる数がふえるが、水路掃除では3種類に分けられれば問題ない。
水路の泥を水と土とその他に分けた。水はそのまま水路に流す。土は《アイテムボックス》に収納し、後で森に捨てる予定だ。その他はさらに《分別》をかけて細かく分けていく。たまに銅貨とか出てくるので、お小遣い程度の臨時収入になるのはここだけの話にしておこう。今日は大銅貨3枚分出てきた。そして・・・
「今日も見つかったよ、これ」
掃除系の依頼を受けると、2回に1回ぐらいの頻度で見つかるものがある。丸く小さな魔石。鑑定で見ると『小さな魔石 品質:低』と表示される。
これはなんだろう。生活魔法の残留魔力が集まると出来るのかな?んー謎だ。残りの後片付けを済ませ、水路掃除を終えた。
冒険者ギルドへと戻り、依頼完了の手続きをして、次の依頼を受ける。
「こちらはランクEのお部屋掃除の依頼ですね。疾風の掃除屋さんには簡単かもしれませんが、よろしくお願いします」
それからいくつかランクEの依頼をこなすと、時刻は夕方になっていた。
サラさんの宿屋へと戻り、小さな魔石について考えてみた。私の受けた掃除系の依頼で、小さな魔石が見つかったところを思いかえしてみたが、特に共通点は思いつかない。庭や水路、空家、どこからでも出てきたのだ。
「やっぱり自然発生したものなのかな?それとも魔道具の使用済みの魔石とかかな?」
んー考えてもわからないや。明日ミレイさんに聞いてみよう。




