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26話 宿屋2

閲覧いただきありがとうございます。

今年最後の更新になります。

また来年もよろしくお願いします。

それでは、良いお年を〜

あれから1週間が過ぎた。なんと、今だに獣人に会えていないという。話が違うではないか。受付のサラさんとしっかりお話をする必要がありそうだ。


「あのー、ここに獣人がいるって言ってましたけど、本当にいますか?全然会えないんですけど・・・」


「うっ、それはたまたまタイミングが悪かったからですよ。きっと」


「どうも怪しいですね。身分証も見せますし、私は普通の冒険者ですよ?」


獣人というくらいだし、誘拐されるかもとか思っているのかな?そんなことはしないのに。ただ、獣人をモフモフしたいだけなのに。これでは埒が明かないな。


「ではこうしましょう!サラさんの困りごとを解決しますので、そしたら会わせてくれますか?」


「えっ!?」


「1週間泊まってみましたが、お客さんは少ないようですし、どうでしょう?何か手伝いますよ」


「えっと・・・それじゃあ、ここの宿屋をお客さんでいっばいにしてくれたら獣人に会わせてもいいですよ」


サラさんはどうせ出来ないと思っているのだろう。無理難題を押し付けて、諦めることを望んでいるのかな。獣人までの道のりは長いようだ。


サラさんから宿屋の情報を教えてもらった。


1階入口の受付の右手に食事スペース、左手に大浴場がある。受付横の階段を登ると、2階に客室が6部屋、3階に4部屋ある。食事は街中の食堂のような感じで、注文を受けてから個別に料理して、宿泊料金とは別に徴収している。どこの宿屋も似たような感じだそうだ。


さて、どうしようかな。日本のホテルを参考にどうにかしてみよう。






1週間後、宿屋がリニューアルオープンした。結果から言うと、満室御礼となった。これにはサラさんもビックリしていた。


何をしたのかと言うと、まずは『動物にお世話される筋合いはねぇ』というご意見。『獣人』がネックになっているということは、逆にお世話を何もしなければよいのではないか?と考えた。その付加価値として、料金の値引き。日本で言う素泊まりプランだ。ベットメイキングはなしで、二連泊限定のプランだ。一泊ではその恩恵をどちらも受けにくいためだ。


食事についても一新した。注文受けてから作ると、手間ヒマかかる。そのため、一気に大量に作るバイキング形式を採用した。食べ放題という概念、こっちにはないのかもしれない。サラさんに話したとき、目からウロコの反応だった。


大浴場の考え方も変えた。宿泊客以外にも利用できるように個別に料金設定をした。


以上のことをふまえ、料金プランをいくつか作り、合わせると割引される形にした。



素泊まり(食事なし):二泊で小銀貨3枚

※ただし、部屋のクリーニングなし


通常宿泊(食事なし):一泊で小銀貨2枚

通常宿泊(朝食あり):一泊で小銀貨2枚、大銅貨4枚

通常宿泊(夕食あり):一泊で小銀貨3枚

通常宿泊(朝・夕食あり):一泊で小銀貨3枚、大銅貨4枚、


大浴場利用:大銅貨5枚

バイキング(朝)のみ:大銅貨5枚

バイキング(夕)のみ:小銀貨1枚、大銅貨2枚


こんな感じだ。後は利益率を考えながら、バイキングの内容を考えるようにアドバイスした。宿名もリニューアルに合わせて変えてもよいと言われていたので、このように変えた。




『宿屋 ジャポン』



余談にはあるが、後にこの宿泊方式が他の宿屋にも伝わり、ジャポン式と言われるようになったとか。そして、サラさんがいる宿屋を『元祖ジャポン』として、その後も客足が絶えることはなかったそうだ。まだ先の未来の話にはなるが・・・






「さて、サラさん。約束ですよ。さぁ、獣人に会わせてくれませんか?」


「ここまでしてくださったスグルさんとの約束ですもんね。ちょっとこちらに来てください」


そう言うと、受付の奥へと招き入れてくれた。そこには、1人の獣人がいた。背は2mぐらいかな。熊のように体格が大きい。


「お前さんが宿屋を救ったスグルだな。俺は熊の獣人のベルグだ。今回は助かったよ。以前文句いう客を怒鳴りつけてから、宿屋が閑散としちまってな。それ以来、サラからは人前には出るなと言われるし。まぁ出なければスグルがずっと泊まってくれるし、こっちとしては助かっていてな。ホントすまんかったな」


獣人と言われても多少毛深い感じで、人族とそんなに変わりないという・・・そうですか。はい、そうですか。中には動物みたいな見た目の獣人もいるが、そういう獣人は基本的に人里離れて生活しているそうだ。


・・・うん、モフモフへの道のりは険しいようだ。

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